高橋睦郎: ベスト100 (シリーズ自句自解1)
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高橋睦郎: ベスト100 (シリーズ自句自解1) / 感想・レビュー
pirokichi
本書はふらんす堂発行の「俳句はこうして生れる。欲しかった一冊」と銘打つ俳句入門書で、自句百句について詠み手自身が解説する〈シリーズ自句自解〉の一冊。著者は1937年生まれの詩人、歌人、俳人。古典に対する造詣の深さと、文学界等交流の広さを思わせる百句だった。孤独な少年時代に書くことを覚え中学生新聞に投稿。「李咲く山家の真昼はねつるべ」は当時の一句。巻末の、季節感が日日失われていくといわれる現在、季語そして俳句という詩の存在理由について書かれた文章は、末端で俳句を詠む自分自身にとって力になった。
2024/09/16
Cell 44
「葉となりし桜を愛づる荒サびかな」「乾坤に髪伸び充つる暑さかな」「ふるさとは盥に沈着(しづ)く夏のもの」「揚羽の目卵放(ひ)る時濁るなり」「殃(まがつひ)に似たり秋晴瑕無きは」高橋睦郎の俳句に関する自伝といった趣もある。高柳重信や澁澤龍彦から田中裕明まで、親交のあった人々悼む句など、見るだけで感慨が湧く。跋にある「俳句に学ぶ」の文はさらりと書かれているが、この文士の破滅に対する思想が覗いているように思う。
2016/02/04
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