天國泥棒: 短歌日記2022 (歌集)
天國泥棒: 短歌日記2022 (歌集) / 感想・レビュー
あや
途中からフランスへ渡航される。私も行ったことのある地名が出てくると嬉しくなる。 財産を持たぬ鳥たちけものたちコミュニズムとは彼らの言葉
2023/08/27
rinakko
〈わが師みな男なりけりあかねさす紫式部に史記習ひたし〉〈葉牡丹にしんじつを問ふ生まれ來て良かりしか汝不機嫌の極み〉〈フェードルゆ源氏物語に通ふ道ほの明かりしてプルーストも見ゆ〉〈白木蓮森閑と咲き戰爭の絕ゆることなき星を抱かずも〉〈立枯れの紫陽花獨り筆折りしうたびとのごとくきよらけきかな〉〈愛されず愛さず生くる天體のきららかさもて海越えむかな〉〈聖母まとふ靑さびしもよ王權にあらがふラピス・ラズリあらむか〉〈妄執を愛とよびたる千年の歷史ほろびむ小面老ゆる〉
2023/08/17
はたえす
毎度ついているひと言エッセイついてなくて読み解くのがむずかしい。しかし帯にもある「天國泥棒愉しからずやたましひは牡蠣と舞茸のパスタのうちに」など比較的わかりやすい歌も多い。流してしまったのだが、書評を読んでいたら「天國泥棒」は死期が近づいてから懺悔し出す人のことを指す言葉らしく、著者の難解な短歌は深い教養から生み出されるのかと思った。「あしひきの山中智恵子待ちたまふ星をよみつつ畏れたりけり」は笑ってしまったが、わたしもこれを書いてる時点で山中智恵子歌集と格闘しているのであしひきで畏れる気持ちはわかる。
2023/07/04
月音
1ページに日付と一首、タイトルは『日記』でも出来事などの記述は一切ない。その日あった様々なこと、浮かんだ思いから切り取られた一瞬が三十一音に凝縮する。シンプルな構成は、詠み手と読み手の関係にある種の緊張をもたらす。これまでと違い、反戦や震災を詠み、自らの老い、死とその後のことまでも考えている歌人は静かに燃え続ける炎のようだ。後半はパリ滞在時の作歌なので、『巴里うたものがたり』(春陽堂書店)と合わせて読むと、抽象画が具象画になった印象に。⇒続
2023/08/05
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