忘れられたベストセラー作家
忘れられたベストセラー作家 / 感想・レビュー
さらば火野正平・寺
明治~平成のベストセラー史。小説ばかりではなく、実用書や漫画、タレント本にも触れる。面白かった。菊田一夫を見直した。
2018/04/13
harass
明治からのベストセラーとその作家たちについての本。いつもの著者らしいトリビア多め。時代ごとの事情や流行なども反映されるのかとも。大衆小説、名前ぐらいしかしらない映画原作本や主人公名だけが有名な作品など。著者自身の本の売れ行きにも言及があり、どんなに真面目に書いても売れる本というのは極まれなものらしい。個人的に驚いたのは、大江健三郎が婦人雑誌に掲載していた恋愛通俗のつもりで書いた小説というのがあるそうで(『夜よゆるやかに歩め』)、今度の全集で収録されるのを知った。軽い読み物として。
2018/05/01
buchipanda3
かつてベストセラー作家になりながらも、今では忘れられてしまった方々を取り上げている明治以降の文学史。裏歴史のような感じが面白そうと思って手に取ってみた。細かいエピソードがたくさん盛り込まており、さらに忌憚のないコメントが楽しい。なぜ消えたのか、なぜ売れたのかという理由も興味深かったが、その背景となる小説媒体や出版社の歴史も面白かった。今でも馴染みのある雑誌はこんな始まりだったのかとか。ベストセラーになった作家も大半は忘れられてしまうもの。今人気の作家さんも数十年後には果たして・・、と思ってしまった。
2018/05/27
六点
「一度ベストセラーを出したからといって、その後出す本も売れるとは限らない」と帯にあるが、売れたところで時間の激流に押し流されぬ本になるかどうかも、運次第の面があるなあと思ってしまった。呉座勇一先生の『応仁の乱』まで取り上げられているが、歴史小説のネタの払底が歴史書に向かっているのははたと手を打つものがあった。「小説よりも史実のほうが変で面白い」ですからねえ。
2018/04/08
軍縮地球市民shinshin
世の中には生きている時には売れて、死んだ途端に忘れ去られる作家が多いのだなぁと再認識。ベストセラー作家というのは、その時代に受ける作品を量産できるので、時代が変化したら二度と読まれなくなるという傾向が強い。明治期の武田仰天子とか菊池幽芳、小杉天外、村上浪六なんてのは今や誰も読まない。幽芳も浪六も生前個人全集まで出ているのだが…。浪六の孫が社会党の浅沼委員長刺殺犯の山口二矢だったと知った。そういえば、少年なのになんで実名が拡散しているのだろう…?
2018/05/11
感想・レビューをもっと見る