音楽のはたらき
音楽のはたらき / 感想・レビュー
ヘラジカ
言わずと知れたロックバンド、トーキング・ヘッズのフロントマンが音楽について語った書。自伝的な回想録かと思いきや、全体通して非常に専門的で、触れられる領域も広範に渡っており、何よりもそれぞれが素人だと理解できるかどうかギリギリ、絶妙の深さまで掘り下げられている。作詞や音作り、コラボレーションやマネタイズまで、文化やビジネスにかけて音楽を包括的に扱っている名著。フィジカルを集めている人も、サブスクで聴きまくってる人も、ライブが好きな人も、”音楽”に関心がある人なら間違いなく視野が広がる必読の一書だと言えよう。
2023/04/23
zirou1984
冒頭の遺跡における神事のための音響的考察の話からたまらない。最近もミュージカル『アメリカン・ユートピア』で話題となったデヴィッド・バーン御大が記した本作は、御大のキャリアと知性によってしか書きえない、底なしの音楽愛と分析心に溢れてる。トーキング・ヘッズ時代の回顧録やCBGBのレイアウト、LP時代からデジタルに移り変わるにつれて音楽ビジネスがどのように変わったか、果てはワールド・ミュージックへの言及やピンカーやデネットといった進化心理学への接続と正に縦横無尽。音楽に向き合うその真摯さと誠実さが素晴らしい。
2024/01/03
ウクレレまさあき
デヴィッド・バーンの壮大な音楽分析レポート。『ストップ・メイキング・センス』4K公開のタイミングで、すっかりバーン漬け。好きだなぁ。 自身の活動を始め、音楽の成り立ち、パフォーマンス、音楽業界、音楽の人に作用する効果など多岐に渡る。読んでいて目から鱗で鳥肌が立つ感覚があったり、この時期こんなことをしてたのかとか、答え合わせ的な内容があったりで楽しかった。一方で、読むのに苦労した章や、業界の仕組みで考えさせられたり。 長く休み休み読んだので、忘れてる部分も多い。蔵書なので曲を聴くようにまたパラパラ読みたい。
2024/07/09
梅田
デヴィッド・バーンの自伝的な要素も中には含まれているが、もっと広い音楽に対する多角的な思索の一つの要素としてそれが述べられている。決して斬新な自説の開陳が続く類のものではなく、先行研究や事例を踏まえて基礎から真摯に、音楽そのものの効用やビジネスのあり方など、時に自由に、時に赤裸々に、ユーモアと知性を忘れないあのバーンの語り口で論じられている。難しいところもあればスイスイ読める箇所もある。充実の読書。
2024/04/20
hidehi
最近『アメリカン・ユートピア』と『ストップ・メイキング・センス』を見たので、ちょうど積読状態だったのを読了。映画を見ながら「この曲はそうやってできているのね」とか「このショーはこんなふうに作ったんだ」とかもわかるし、"音楽"というものへのそもそもの考え方が理解できて面白い。
2024/02/07
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