衣食住: 随筆
衣食住: 随筆 / 感想・レビュー
ひとひら
読んだのは、これとは違う緑のハードカバー文庫サイズ。文学も時代も今よりもっと尖っていた時代。老大家が話す赤裸々で穏やかな日常。続々と登場する歴史上の人物たちにニヤニヤとした親近感を覚える。『雪の日』から四編はガラリと雰囲気が変わった気がしたが、最後に短編を持ってくるのは作家ゆえか。動物の痛々しい表現には震えた。
2011/11/02
ハルヤママサノリ
衣について私は娘達に割りに八釜しく云う。何故なら、着物の調和という事が分からずに女が一生出鱈目に着物を作るのは女として、およそ損な事だと思うからで、しかも、そういう感覚は一朝一夕に養われるものではない。 食で、私が一番不愉快に思うのは一寸気をつければうまくなる材料を不親切と骨惜しみから不味いものにして出される時である。
2021/01/19
:*:♪・゜’☆…((φ(‘ー’*)
同時代の文豪に対する飾らない意見が笑ったし、具体的な作品を例にどこをどう改めればいい作品になるのか考察を加えた部分が参考になった。特に太宰治→「作家のとぼけたポーズが厭だった。それも図迂々々しさから来る人を喰ったものだと一種の面白味を感じられる場合もあるが、弱さの意識から、その弱さを隠そうとするポーズをとるので、若い人として好ましい傾向ではないと思った」。後から太宰の別の本を読んでいい印象を抱くようになるのだが、彼が心中をしてしまうと、少しは自分のせいかもしれないと、あの時少しも褒めなかったことを悔やむ。
2018/06/06
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