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田村隆一詩集 (現代詩文庫 第 1期1)

田村隆一詩集 (現代詩文庫 第 1期1)

田村隆一詩集 (現代詩文庫 第 1期1)

作家
田村隆一
出版社
思潮社
発売日
1968-01-01
ISBN
9784783707004
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田村隆一詩集 (現代詩文庫 第 1期1) / 感想・レビュー

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アナーキー靴下

『残像に口紅を』を読み、どうして音に気づかなかったのかと、慌てて何篇かのみ再読。今までも流石に詩は心で音読をしていたが、それならイメージ喚起が阻害されるはず。何故そうならないのか。音のリズム、音程、そういうものが音楽を奏で、心に何らかの情動を起こす。言葉のイメージは劣後しており、空白や改行があたかも休止のような効果を持つことで、イメージの奔流がやってくるのだ。詩は、視認、音、語感、文意の四つが重なり合い、訴えかけている。そう思いながら読むと、理由もわからず好きだった詩がいっそう素晴らしく感じられた。

2024/07/30

アナーキー靴下

高校生のときこの現代詩文庫で初めて出会い、かつ最も好きな詩人。詩を読むとき、私はその詩人の友か、恋人か、子供か、或いは詩人本人か、そういった何者かとして言葉を受け止めているように思う。しかし、田村隆一の詩を読むときは、まるで私は死者として言葉に相対しているような、彼の詩という言葉だけが両者を隔てる膜であり接点でもあるというような、そういう感じを受ける。何故死者だと感じるのか、それはこんな言葉で現実の人間に語りかけることを想像できないからだ。生きている者同士では、こんなにも美しい言葉を交わす必要がない。

2020/12/13

内島菫

冒頭の詩「幻を見る人」から心を掴まれた。「空から小鳥が堕ちてくる/誰もいない所で射殺された一羽の小鳥のために/野はある//窓から叫びが聴えてくる/誰もいない部屋で射殺されたひとつの叫びのために/世界はある」。この始まりの部分が様々に変奏され緩急や余韻が駆使され、組曲のように一篇の詩が編まれてゆく。「はじめ/わたしはちいさな窓から見ていた/四時半/犬が走り過ぎた/ひややかな情熱がそれを追った」。

2018/12/08

有理数

田村隆一の「帰途」という詩は本当に大好きな詩なのですが、まとまって田村隆一の詩を読むのは初めてでした。一冊の半分が詩論・自伝で、個人的にはもっと詩を収録してほしかったのですが、それでも本詩集も大変良かった。田村隆一の詩は、本当は詩にしたくない、無のままでありたい、という静への渇望があって、けれどどうしても言葉になってしまった、という抗えぬ感情の発露がある、と読み取りました。「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」。もっと詩が読みたかったと書きましたが、もちろん詩論も面白かったです。

2017/06/05

ぷるいち

はじめて現代詩文庫を手に取りました。この詩人については何も知りませんが、硬質な言葉を一種のおかしみを含んで書く人だと感じました。感情そのものをエモーショナルに書くよりも、モノ・コトを一定の客観性を伴って書いているなかに叙情性がある文章のほうが、自分は好みであると気づいたので、それだけでも読んで良かった。ただ、いまは小説が読みたい。その理由はそれとして、とても重たいものを……。

2016/03/20

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