山本太郎詩集 (現代詩文庫 第)
山本太郎詩集 (現代詩文庫 第) / 感想・レビュー
午後
一読して詩が持つ速度に圧倒された。即興的に流転していくイメージ。根源的な問いが詩を駆動し、自己の存在を開いていく。定位することはなく、飛び去る景色を抒情している。はじめからのがらんどうには何を詰めてもがさがさの黒だが、絶対者や他者への希求が針金のように震えている。歳を経るごとに詩風が深化し、長大になっていくのが格好良い。
2021/07/13
misui
やたらと長い詩を書く人で内容は即興的。歩きながら頭に浮かんだ想念をそのまま詩にした感じで、行分けした「意識の流れ」といったところ。詩人自身が己を「からっぽ」であり「運動」であると規定していることから、まるで大きな穴のように外界を飲み込んで、それを希求の運動のもとに詩として定着させたように思える。からっぽであるからこそ飢えを持ち、何者かへ手を伸ばす。詩が面白いというよりは破れかぶれの運動を思わせるそのスタイルが面白い。
2014/04/22
sk
問いとして書くということ。
2012/07/16
再読。ぶっきらぼうな声音がいい。戦後詩における正津勉や八木忠栄などの素晴らしいヤサグレ詩人たちの先駆を見ることが出来る。書くことが同時に考えてゆくことも、だからダラダラ長くなってしまう、それもいい、キュートなところである。永田助太郎の名前も出てくるが、永田の場合はモダニズムの極限としての自己破壊であったならば、山本の場合は、それをのらりくらりと躱して戦後に広がる生存が保証されているが頽落した「生活」の内にダラダラと書き散らしている。もちろん、それが抵抗としてあり得たのも事実だろう。
2021/11/11
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