稲川方人詩集 (現代詩文庫 第 1期99)
稲川方人詩集 (現代詩文庫 第 1期99) / 感想・レビュー
seer78
生きる他者よりも記憶の底の死者に捧げられたかのような言葉。いかなる妥協をも排して、粘り強く現実を否定し去り、「外」に向かって閉じようと試みているのだろう。「たしなめるな 矯めるな/残るおまえの日は少なく/なにをも矯めるな。日が暮れて、水の工事」「私の父のために、/私の母のために、/死者のいない墓地を/この世につくる。」「懐かしい匂いが血のなかにしている。/俺は野菜が首都高に生えているのをみる。/詩はよろこべ。/よろこんでいる詩を何度でもよろこべ。/俺はのどに助からない言語をつまらせている。/馬鹿な話だ。」
2015/11/05
;
「気風の持続を負う」
2018/01/22
桜井晴也
「たとえば、『気狂いピエロ』のリバイバルの後日譚として、『パッション』のゴダールがこの東京にやって来るのを中止するとき、かくたる理由もなくそのことを美しいと思うことはできた。つまり、われわれが現に耳にするはずだった二十数年来のその靴音を響かせなかったことをなぜか美しいことだと思った。」
2010/11/15
🦐🍴💓🥑
反復が多い。あるときはリズム、またあるときは警報のように。親が子供をやたらと同じ言葉で繰り返し怒鳴るときのことも思い出す。あまり詳しいことは分からないが、『封印』では、死者にまつわる言葉で詩を書いていた戦後詩の潮流のなかで詩を問い直すような、批評で満ちているように思う。 まあ、少なくとも言えることは、勇気をもらいたいときや、そっと寄り添っていてもらいたいときに読むような詩ではないみたいだ。
2017/01/31
Z
はじめの詩が、同世代の鎮魂歌。次の詩集が、詩の理論を唄う。次から、そのバランスの配合具合を堪能した。先行世代からの切断を意識していることは、後半の論集から、わかり、それが成功してるか正直わからない。しかし、非転向を貫いて、同世代の体験を背負って吟われる言葉は力があり、一番最後の詩集が、理論、叙情のバランスがすきだった。
2014/11/08
感想・レビューをもっと見る