続・天沢退二郎詩集 (現代詩文庫)
続・天沢退二郎詩集 (現代詩文庫) / 感想・レビュー
渡邊利道
少年期の詩編がすでにして凄い。ほかに『時間錯誤』『血と野菜』『取経譚』全編『譚海』『「評伝オルフェ」の試み』『夜々の旅』『Les Invisibles 目に見えぬものたち』全編『死者の砦』から選ぶ。移動すること、水のモチーフが氾濫しつつ、土地・建物のイメージがゆっくりあらわれる。物語詩がだんだん際立っていく過程とも読める。この裏面に昨日読んだような童話の世界、それにあの宮澤賢治校訂作業があるわけだ。
2017/02/02
misui
続でようやくらしくなってきた。集中の白眉は「Les Invisibles 目に見えぬものたち」。全51篇の中に「花見川流異記」という詩群を書中の川のように含む詩集は、天沢作品における水のイメージと彼方への衝動の重なりを見事に示している。これは詩だけではなく童話にまで溢れ出る「水」を読み解く上で重要だろう。「雨は降り注ぎ川は流れる。作品は降り注ぎ物語は流れる。」と端的に表す解説も嬉しい。
2010/06/17
桜井夕也
『天沢退二郎詩集』はシュルレアリスムのオートマティスムを思い起こさせるイメージの衝突が面白かったが、この本にはそれがなく、私には楽しめなかった。
2014/02/23
水紗枝荒葉
1970-80年代の天沢作品を集めた詩集。正直に言えば、おおよそ50点以上80点未満のさほど変わり映えしない詩物語をなぜ1000ページ以上も書き散らしたのか、モチベーションも意図もよく分からない。巻末の今井裕康(三浦雅士の当時のペンネーム)の批評は的確で読み応えがある。
2022/11/18
感想・レビューをもっと見る