吉増剛造詩集 (続続) (現代詩文庫 第 1期116)
吉増剛造詩集 (続続) (現代詩文庫 第 1期116) / 感想・レビュー
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伝統的な詩は記憶されるために存在し、対して吉増の詩は発声されるために存在する。これらの詩に共通するのは、印刷された表面は墓場にもひとしいということ。
2019/07/21
愁
以前読んだ詩集はまるでフリージャズの様でしたが、今回の選集では繰り返されるリフやリズムからHM/HRの様な印象をうけました。雰囲気や文章から音楽を感じる作家はよくいますが、文体や構造から音楽を感じる吉増氏の様な作家はそうそう居なく、珍しくまたこれが面白い。表現も頭に残る単語や文章が多いですね。他作品も少しずつ読んで行きたい作家の一人です。
2018/02/22
misui
疾走から歩行へ。しかもその歩行は二重にも三重にも像の重なった、ほとんど残像のような歩行である。彼方から去来する響きに耳を澄まし、土地の上に土地が、記憶の上に記憶が、声の上に声が幾重にも織り込まれる(リフレインがその感を一層強くする)。自然、詩はいや増しに形を崩していくが、初期のような猥雑さは影を潜めて、むしろ静けさが際立つ。「絵馬、a thousand steps and more」の舞踏的な身振り、「オルガン」のささやかな風景に入り交じる宇宙的な感覚などは特に忘れがたい。
2014/08/08
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