自伝からはじまる70章: 大切なことはすべて酒場から学んだ (詩の森文庫 101)
自伝からはじまる70章: 大切なことはすべて酒場から学んだ (詩の森文庫 101) / 感想・レビュー
Shin
何か他の「酒」をテーマにした随筆集で見つけた本。酔っ払いながらAmazonで注文したせいでどの本が参照元か分からない自分もちょっと好き。田村隆一という人は正直全く存じ上げなかったのだけれど、酒を飲み飲み、旅をし、詩を書き、人と交わるそのシンプルさに惹きこまれる。「金のないときの酒の味は、形容できないくらい愉しい。酒はポケットに手をつっこみ、小銭をさぐりあてながら飲むにかぎる」 嗚呼、酒飲みよ永遠なれ。
2015/05/01
Cinejazz
詩人で翻訳家、「ハヤカワ・ポケット・ミステリ」の生みの親・田村隆一氏(1923-1998)の自伝的エッセイ70編。 戦前の老翻訳家の逸話〝マンハッタンのバーに刑事が入ってくると「姐さん、熱燗で一本頼むぜ」その刑事は翌朝、昨日の聞き込みに、ハタとヒザを叩き、朝飯をかっこんで、自宅から飛び出して行く。一足違いででホシを取り逃がす「南無三、シマッタ!」〟諸君、笑ってはいけない。昭和30年代になっても、ティシュ・ペ-パ-は「薄葉紙」、ハイウェイ・パトロ-ルは「牛車の通る道」・・・翻訳家の苦労が偲ばれる。
2024/06/18
kochi
詩人田村隆一が、なぜか経済方面の月刊誌に書いたエッセイをまとめたもの。70章もあるので、5年以上続けていたのか? ハヤカワ時代の後輩の書いた文(乱歩と銀座に行って酒を飲み倒す話)をそのまま大胆にも丸写ししたり、同じ酒場や公衆浴場に関する同じエピソードが、堂々と重複して載っていたりと、著者の人柄が偲ばれるエピソードでしょうか^_^ 翻訳をやっていたことは知っていたが(例えば2回登場する『あなたに似た人』など)、ハヤカワのポケットミステリシリーズを企画したりと、編集としての才能もあったのか!
2021/06/22
shore
田村隆一を急に読みたくなって、詩集以外で手に入りやすいものを・・・と思って買ってきた。クリスティなんか読みたくなっちゃう。
2019/02/10
marsh
詩人田村隆一の晩年のエッセイ。サブタイトルに(大切なことはすべて酒場から学んだ)とあるように、自由奔放に酒と仲間と人生について語りつつ、アメリカからヨーロッパ、インドへとエピソードは自在に広がります。 特に戦後の交友を通して、大詩人の精神形成史とアイデンティティがどう確立されたか、楽しく語られています。「酒にも、青年の、壮年の、初老の、老人の旅があって、それぞれに特有の愉しみがある。~生物は水でできている。カレた人間でも、心に水がなければ干物である。そこで、まずは一杯。」人生を知り尽したフレーズだなぁ。
2012/07/14
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