河原荒草
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河原荒草 / 感想・レビュー
Roy
★★★★★ 第36回高見順賞 とても好きだ。このような連作詩集という形態の話は初めて読んだ。江國香織の「神様のボート」を彷彿したが、あちらが静かな狂気の物語であるなら、こちらは生々しくそして荒々しい狂気の物語だ。荒涼とした景色が脳内に焼きつき、どうしようもない不安に襲われる。
2008/12/09
キヌモ
読み終わると、長い長い映像を見たような気になる。生きていること死ぬこと性のこと子供のこと移民のこともうぐちゃぐちゃに蔓が絡まるように生きているんだか死んでいるんだかよくわからない世界に迷い込んだようでゆめまぼろしのようである。
2021/06/09
午後
むせ返るような緑の気配をあたりに撒き散らす五月の草木のように、荒々しく、生々しい言葉たち。紡ぎ出される、というよりほとばしり出た、という方が似合う。草や土や獣、ヒト、とその死骸の臭いがムンとページの端々からたちこめる。呪文かもしくはお経めいたフレーズのリフレインも相俟って、読んでいてトランス感がある。すごい。
2018/02/02
Quijada
小説的に言ってしまえばマジックリアリズム。これで済まして良い訳はないが過剰な描写が面白い。
2012/04/10
くさてる
圧倒される現代詩。紡がれる言葉は、抽象的で比喩の正体を正確に追うことは不可能に近いはずなのに、たまらなく生々しく迫ってくるのは、使用されている語句のせいだけではない。それが構成する世界のせいだ。ばらばらになった言葉が繋がり、呪文のように世界を作り上げたかと思った瞬間に、またくだける。音読しながら読んでみたら、頭がくらくらした。
2012/02/20
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