ウエスタン・ランド
ウエスタン・ランド / 感想・レビュー
roughfractus02
1970年に死を目前としたダッチ・シュルツの断片化する言葉の速記録に速度を与えた作者は、1987年に自分の作家の終わりに面して諸断片の塊を書き上げたのか? 物語の線を維持し、壊してきたキムやジョーも断片の一部となり、お馴染みの麻薬、ムカデ、決闘のテーマもイメージの無関係な連鎖の中で浮かび消える。ただし、死だけは西の国エジプトの死生観に姿を変えてこのつきはぎ細工のつなぎ目から滲み出て、文字全体に広がるかのようだ。最初と最後に出てくる老作家ホールは、断片の連鎖にも終わりがあるが、その向こうもあると言いたげだ。
2020/11/29
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