吃水都市
吃水都市 / 感想・レビュー
浦
おそらく東京と思われる架空の都市のまざまな場面を24の散文詩でまとめている。平山瑞穂や田中慎弥の小説に出てくるような、暗く幻想的で混沌とした場面が好きな人には、それらの見どころだけを集めて詩にしたような作品。すべての詩が都市という舞台でつながっているがために、最後の詩に一部、自分に合わない表現があるだけで全体の読み終わりの熱が少し冷めてしまったところが残念。またこの本、かなり変わった装丁になっている。薄い紙が2頁ずつ山折になって、印刷は互いの表面にされているせいで不思議な手触り。独特の世界観を作っている。
2016/11/08
oz
初読。閉塞的な仮構の東京をモチーフにした物語性の強い散文詩集。小栗虫太郎の黒死館殺人事件の冒頭を思わせる「新青年」的東京から廃墟の屹立する「遠未来」的東京。未来と過去の混合物。何だか村上龍の「海の向こうで戦争が始まる」を50倍の分量で書きました的な小説があって、そこから切り取ったパッセージを予告編として見せられた感じ。もどかしい。完成には20年を費やしているらしい。
2010/10/05
RYOyan
なんだか存在感のある装丁。紙の手触りと活字の連なりが独特の雰囲気を醸し出していた。浮遊しながら、どぎついブルーフィルターを通して都市を眺めたようだった。
2022/02/21
保山ひャン
水没した東京をめぐって書かれた断章の詩。そこでは建物にかわって木が生い茂ったり、花電車が走ったり、九尾の龍が飛んだりする。「迦陵頻伽」での、不穏な床屋は、記憶のなかの情景だということを共感できて、と、いうことは、僕のいるこの大阪だって、水没しているのかもしれない、とこわくなった。
2015/05/20
s_i
ページが袋綴じになってる詩集。
2014/01/30
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