幻視する近代空間―迷信・病気・座敷牢、あるいは歴史の記憶
幻視する近代空間―迷信・病気・座敷牢、あるいは歴史の記憶 / 感想・レビュー
うえ
「外部の世界に対する恐怖はまた、<異人>に対しても醸成される。それは「唐人」や「鬼婆」「人買島の人」といったかたちでイメージされている。「膏取り」と「血取り」の民話は、異人をはっきりと対象化することによって人買いや人さらいの説話と結びつくのである。人買いや人さらいは、幻想の所産とみなされやすい膏取りや血取りとは異なり、かなり身近な出来事であり、容易にリアリティへと結晶する説話の要素であった。謡曲『隅田川』や説教『山椒太夫』は、人買いと人さらいの典型的な説話である。特に山椒太夫は…誰でもが周知の物語だった」
2020/09/12
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