郊外と現代社会 (青弓社ライブラリー 8)
郊外と現代社会 (青弓社ライブラリー 8) / 感想・レビュー
浅香山三郎
1998年のパルテノン多摩(の歴史博物館)における連続講演会を書籍化したもの。パルテノン多摩は、多摩市の歴史博物館、音楽ホールを併設した多摩センターのランドマーク的な施設である。著者が概ね1950年代生まれであり、今から10年前だといふことを考へると、未々語られる郊外問題は深刻ではなく、日本の戦後の自画像として郊外を読む視座のものが目立つ。なかでも、内田隆三さんの「郊外ニュータウンの〈欲望〉」は、ニュータウン的空間の消耗と成熟感のなさを指摘し、新しいタイプの共同性の必要を説く。ある意味予言的な指摘である。
2017/08/29
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