妖怪は繁殖する (ナイトメア叢書 3)
妖怪は繁殖する (ナイトメア叢書 3) / 感想・レビュー
ひめの たろう
青弓社3号 2006/12
目目水母
妖怪というと民俗学の範疇というイメージを持つ人は多いが、本書収録の論考は民俗学に留まらない(中には感想文みたいのもあるが・・・)。ケサランパサランが受容されていく過程を本人によるモノローグ形式で綴った「毛玉たちの沈黙、あるいはケサランパサランの独白」や、妖怪からUMAへと変貌したツチノコに関する「ツチノコも繁殖する」が面白かった。
2011/08/12
c
小松和彦と京極夏彦のインタビューは面白かった。同じように「妖怪」を希求しながら、二人の立場が微妙に対立しているのだ。小松の「異人論」を下敷きに京極が「姑獲鳥の夏」を書き、それがその後の妖怪ムーブメントに繋がっているわけだが、いわば理論の通俗化という関係性は現在も変わらないらしい。小松はまだ真摯だけれど、京極の妖怪(だけに限らないが)に対する態度は尊大に過ぎる。「通俗娯楽小説家」というより、たんに俗物と言った方が正しいだろう。
2010/09/05
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