怪異とは誰か (怪異の時空 3)
怪異とは誰か (怪異の時空 3) / 感想・レビュー
へくとぱすかる
「怪異の時空」3冊目の最終巻。3冊中もっとも難しい。ほぼ全編が文学テクストをテーマにしているからなのか、論文の随所に現れる文学的表現に、怪異そのものがあるとも感じた。それぞれの論が集積した結果として、近代が封じ込めてきた、人間の理性に収まらない部分、抑圧された感情が、「怪談」として語られることで、かろうじて表現されてきたのだ、ということが浮かび上がってくる。
2017/02/05
佐倉
近代国家という枠組みに現れる“怪異”を小説や怪談などのテクストから読み取る論文集。怪異とは誰か?父権社会にとっての女性、帝国にとっての植民地や敵国、貧者にとっての上流階級、現在から見る過去と、怪異に様々な他者が投影されていることを示す論考が興味深い。とりあげられるケースには多少の差はあれど差別が隠されている。黒木あるじが掲載を取り止めたネタなど“怪異の背後に差別的な歴史があること”が忘れられるようなケースもある。それへの対応として黒木あるじは土地の歴史と向き合うという事を語っていたのが興味深い。
2024/01/11
qoop
怪異に仮託して誰が何を語るのか、怪異を表象する語り手を考える上で欠かせない論点だが、本書は近現代人の心性がどう怪異の中に漏出しているかを多面的に論じている。中では、怪談実話好きとして読んでおくべきと思わされた黒木あるじ氏へのインタビュー、近代国家の周縁でありながら中心を主張する戦前日本の矛盾を指摘した編者の〈皇の奇跡〉、恐怖以外に怪談を成立させる種と実を示唆していて興味深い岡田康介氏〈喪主としての語り〉などが印象に残った。
2022/07/14
mittsko
「怪異怪談研究会」(2012年8月~)の最初の成果シリーズ「怪異の時空」全三巻の最終巻。なんか変な表題だが、どうやら「外部」の「他者」としての怪異を問題化しようとしているらしい。怪異として外部から現れる他者とは誰なのか、と。なるほど。そして集められた論考は、本研究会の性格を反映して、毎度ながら文学研究がほとんどですね…(^^)/ ※ 個人的には、グサッと刺さってくる論考は、本書ではみつからなかったです(疲れはてた状態で読んでしまったからかもしれないです… 茂木さん、ごめん)
2023/08/25
396ay
めちゃくちゃ面白い。じっくり読みたい
2021/10/21
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