小説の生存戦略 ライトノベル・メディア・ジェンダー
小説の生存戦略 ライトノベル・メディア・ジェンダー / 感想・レビュー
よっち
現代小説の枠組みを確認するために、マンガやアニメ、ゲームなどのサブカルチャーを雑食的に取り入れて発展・成熟を遂げてきたライトノベルの方法や様式を検証する一冊。全体としては直木賞におけるマンガ的表現に対する評価や、キャラクター化される歴史的人物、ライト文芸やウェブ小説にみる出版業界の新しい形、多様で複雑なライトノベルをめぐるメディアミックス、中学・高校図書館とライトノベル、ライトノベルで卒業論文を書く人へ、ラノベ編集者の仕事など、面白いテーマもあったけれど玉石混交で、こういう活動を続ける難しさも感じました。
2020/06/21
かっぱ
数ページ程度の短い評論、あるいは情況整理的な文章が並ぶ構成。個々の記事だと突っ込みが足りない感じがあるのだけど、網羅性という点で見る問、ラノベ周辺の「研究」の全体像がつかめる本になっている。なので、これはある種のガイドブックであって、これを起点にほかの本に手を伸ばすものだと思って「使う」本、だと思う。
2020/08/15
山のトンネル
2006年から2020年までのライトノベル研究会の研究成果。直木賞から紐解くキャラ化を取り入れた文学の歩み。ラノベは書店販売におけるカテゴリーのひとつという定義。第6章、第7章「学校図書館とライトノベルの交点」コラム「学校教育を取り込むライトノベル」「ライトノベルで卒業論文を書く人へ」「ラノベ編集者の仕事」「VRがもたらす体験」「ライトノベルとメディアミックス」第8章「ライトノベルは性的消費か」
2022/07/08
k.ichihara
千田先生がおすすめしていたので読んでみた。文学作品の在り方が従来とは全く変わってしまっている。そのため既存の文学研究の枠組みでは状況を捉えきれない。そのため、本書は新たな研究の在り方を模索しつつ編まれている。個人的には、ゴスロリファッションがジェンダーを無化するものであると分析した論考がもっとも面白かった。巻末の座談会も、今後の文学、文学研究の在り方に対する示唆に富んでいて秀逸だと思う。
2021/03/27
aoto
現代風の論評。ラノベやキャラクター、web小説について国語の教科書なんかででてきたっぽい小論文が載せられてる。こういう分野がどんな風に表現されて語られるんだろうなというのはちょっと面白い。妖怪が出るからといって、ホラーというわけではなくなった。とか、日常から非日常への移行が描かれるラノベにおいて、もともと非日常の存在である妖怪はアンマッチだみたいな話は面白い。
2020/08/10
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