ブローデル歴史を語る―地中海・資本主義・フランス
ブローデル歴史を語る―地中海・資本主義・フランス / 感想・レビュー
うえ
討論会の記録「教授はつぎのように書いておられます。「私は衰退という言葉も概念も信じない」」ブローデル「歴史家というものは演出家です。過去の歴史を少し脚色しても、それは正々堂々たるやり方というべきです。こうした意味において、衰退は、一度ならず歴史家によって脚色されてきました。ヴェネツィアの衰退、ヨーロッパの衰退、スペインの衰退等々、あらゆる種類の衰退がありますが、ヨーロッパの衰退やフランスの衰退などは私は信じません。私は、自分自身もみんなとおなじように、狂信に動かされるような歴史家ではないと主張いたします」
2022/01/17
roughfractus02
歴史学を科学にするには、人間中心の波乱万丈な短期スパンの出来事ではなく、長期スパンでほとんど動かない歴史から始めるべきである。地中海では様々な出来事が起こるが、冬になると船は港に戻り、春になると動き始める。この「動かざる歴史」を起点とし、物質文明、経済、資本主義の3層の構造から空間の変換として時間を扱えば、歴史は統計的な科学に接近する。本書は、著者を中心としたシンポジウムの記録であり、地中海を対象として、地理的条件と技術革新のような複数の速度から成る歴史を検討する。人間は、まず第一にヒト科の生物なのだ。
2020/06/18
ぴ
前提となる問題意識が薄く、話を追うにしても修行のように感じてしまったが、資本主義についての根本的な議論がなされている個所が多く、資本主義について考えを深める場合、非常に面白い書籍だと思う。
2021/06/27
感想・レビューをもっと見る