ダ-ウィンの使者 (上) (ヴィレッジブックス F ヘ 3-1)
ダ-ウィンの使者 (上) (ヴィレッジブックス F ヘ 3-1) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
分類するなら、やはりSFということになるのだろうが、本書におけるScienceは未来型の工学ではなく、現在の水準における生物学である。第1部で物語世界の構造はほぼ明らかになり、おそらく第2部においては、「ヘロデ流感」として立ち現れた現象との相克が描かれるのであろう。そして、現時点では想像もつかない第3部にこそ本書の真価が発揮されるのだと予想される。ここまでは、きわめてスリリングな展開。グレッグ・ベアは初読だが、こうした分野を得意とする作家なのだろうか。はたまた、希代の勉強家なのか。下巻に期待を込めて。
2016/11/23
まふ
1999年に上梓された2000年代の超近未来SF。アルプス山中で発見されたネアンデルタール人と思しき女性と赤児のミイラは現生人類のミイラだった。一方グルジアで集団殺戮されたらしい多数の妊婦の遺体が発見される。さらに米国内で流産胎児から未知のウィルスが発見され「ヘロデ流感」と名付けられる。これらは分析の結果共通のウィルスではないかと推定される…。なかなか難しい専門用語が出てきて「いかにも」感が横溢する。コロナを経験した我々だが、緊迫の雰囲気は理解できる。下巻はいかに。G1000作品。
2024/10/10
扉のこちら側
2016年356冊め。【178ー1/G1000】ヒト内在性レトロウィルスに起因する謎の奇病により、100パーセントの流産と、その後の性交渉を経ない奇形妊娠が引き起こされる。存続を脅かされる人類の戦いでもあり、科学と政治、人道と利権の戦いでもある。この手の話は5年もすれば日進月歩の医学の進歩により古臭くなってしまうのもだが、それを感じさせない面白さ。ただ登場人物が多くて把握に手間取る。各章は短くて読みやすい。下巻へ
2016/05/22
セウテス
西暦2000年代の初め、考古学者レイフェルスンは、アルプス山で殺害されたネアンデルタール人のミイラを発掘する。そのミイラは女性であり、傍らには産まれたばかりの赤ん坊がいた。しかし驚く事に、その赤ん坊はネアンデルタール人ではなく、我々と同じ人類であった。やがて、流産を惹き起こすウイルスが発見され、ヘロデ流感と呼ばれる様になる。学術用語が難解なのは仕方がないが、かなりの取材のもとに設定された物語だと感じる。ウイルスとの戦いかと思ったが、どうやら好ましくない進化をする時、人はどう考え行動するのかと言う事らしい。
2019/06/20
NAO
ヒト内在性レトロウィルスを起因とした〈ヘロデ流感〉。それは、妊婦のみを襲い流産を引き起こすという、人類の存続を脅かすものだった。〈ヘロデ流感〉に関わることになってしまった分子生物学者ケイ・ラングと、人類学者ミッチ・レイフェルスンの当惑と、〈ヘロデ流感〉に対する社会の異常なほどの反応。果たして、人類は滅びてしまうのか。
2019/12/25
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