生きながら火に焼かれて
生きながら火に焼かれて / 感想・レビュー
ミカママ
【原書】数ページ読むごとに表紙の彼女を眺めて、テキストに戻る、を繰り返しながらも一気読みした。過去形であるべきところが現在形だったり、数多くないボキャブラリーに、彼女の過ごしてきた壮絶な人生を感じる。物語の前半を読む間は、痛みと憤りしかない。無知のなせる技とはいえ、こんな文化が未だに世界のどこかに実在するという事実。彼女が救われたのはまさに「ミラクル」。わずかだが、彼女を救ったスイスの人権保護団体に寄付をするつもり。実際に読んだのは:https://bookmeter.com/books/1733973
2018/11/22
みゃーこ
死すヨルダン…。女性としてこの国に生まれてこなくて本当に自分は恵まれていると思った。と同時に時代や国の文化によってなにが名誉で何が善なのか悪なのかが異なるがかくも悪しき因習により年間6千人もの女性が犠牲になっているという事実に対して怒りを覚える。なんとしても根絶しなければならない。
2013/06/27
YM
今の時代を生きるから、本書で書かれていることがおかしいと簡単に理解できる。しかし結局、僕たちは自分たちが決めたルールに従っているだけなんだ。スアドが受けた肉体的、精神的な苦痛、その環境から救い出すために危険を承知で尽力した人たち、過去のトラウマを乗り越えようと必死に戦うスアドの姿と心の葛藤、スアドを支えながら、同時に自分たちも苦しむ子どもたちと夫、この現実に恐怖と感動で震えが止まらない。本書ラストにあるスアドのメッセージが多くの人々に届くことを願います。
2015/01/23
metoo
中東シスヨルダンの女性スアド。本書は、結婚前の17歳の時に子を宿したことにより、家族の名誉を汚したとして、義理の兄から身体に火を付けられた(名誉の殺人と呼ぶ)が、奇跡的に「シュルジールSURGIR(出現)」というスイスの組織に助けられ、大火傷を負い混濁した意識の中7カ月で男の子を出産し、偽名スアドとして証言した実話だ。現在も名誉の殺人で亡くなる女性は年間6000件を超える。スアドのように欧州に渡り結婚し子供を産んだ人は恵まれているが、ありきたりな日常は送れない。血の滲むようなひと言ひと言を胸に刻みたい。
2016/02/12
『よ♪』
読み終えて暫くは言葉が出なかった。『名誉の殺人』について書かれたノンフィクション。名誉の殺人とは中東社会の一部に於いて現代も続いている風習。本作ではその犠牲となり生きながら火をつけられ、そこから奇跡的に生還した女性スアドの半生が綴られている。文化の違いや中東地域に対しての偏見。それは理解しているつもりだ。でもこれは受け入れられない。胸が詰まる思いで読み終えた。だがそんな中、相手からのどんな些細な施しに対してでも必ず『ありがとう』と云うスアドの姿にとても優しい気持ちになれた。多くのかたに読んで欲しいと思う。
2018/12/08
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