京都不案内
京都不案内 / 感想・レビュー
trazom
自分が学生時代を過ごした京都が、昨今のオーバーツーリズムの弊害で荒んでいることに心を痛めていただけに、京都愛溢れるこういう本は嬉しい。名所旧跡の観光ガイドではなく、歴史や人物が染み込んださりげない会話の中からこの街の懐の深さを感じられる。若き子規と漱石が二人で京都を訪ねた情景を思い浮かべ、「大友」の磯田多佳や不良華族事件の吉井勇などに思いを馳せる。インタビューの4人も秀逸(梶田真章、西川祐子、志村ふくみ、田中ふき子各氏)。特に、梅棹忠夫先生の妹・田中ふき子さんの金閣寺の証言は特ダネ級。味わい深いいい本だ。
2023/01/31
アキ
ちょい住み京都の日々を綴るエッセイ風の手記と京都人へのインタビュー集。出版関係の知り合いからのつてで、京都のディープな裏話がたくさん載っています。夏目漱石と京都の芸妓だった磯田多佳との交遊とすれ違いや、祇園を愛して石碑が残る吉井勇と谷崎潤一郎や永井荷風らの遊郭遊び、戦時中京都にも空襲があったことや、京都の映画館「出町座」や「京都みなみ会館」のことなど、左京区を中心に住んでみて見えてくる京都の一面を楽しめます。インタビューは谷崎潤一郎の墓がある法然院慣主・梶田真章さんの話しが良かったです。
2023/04/06
たまきら
谷根千の森さんによる京都本と知り、取り寄せてみました。彼女の文章はなれているので読みやすいんですが、京都のことは詳しくないのでグーグルで調べつつ、視覚化しながら楽しみました。「せかいしそう」で連載されていたものをまとめたものなため、全体的なまとまりはないですが、逆に短い旅のアイデアをもらったり、京都の人々の言葉に触れる時間をもらえるのが良かったかな。また縁があったら行きたい町です。
2023/09/20
まさ
連載されていたエッセイにインタビュー等を加えた1冊。タイトルから想像していたものとはちょっと違う感じを受けたが、著者の京都視点がおもしろい。観光と生活という対とはまた異なる、京都滞在をマイペースで過ごすときに併せ持つとよい感覚か。志村ふくみさんらのお話が特に興味深かった。
2023/02/15
yyrn
地域本の編集長で、地域文化からの町づくり活動を支援し、様々な提言を行ってきた著者が、ワケあって京都に通うようになり、短期長期の滞在を繰り返しながら、旅行者と生活者それぞれの視点で、観光ガイドブックには載らないような色々な京都を、個人的な出来事や出会い通じて見て感じて考えた思いを綴っている本。退職して時間に余裕ができたらこの本を持って京都の街中を歩くと楽しいのではないか、と思ったが、いま調べたら5年前家族と訪れた際に利用したホテルが無くなっていた。千年の都でさえ変化が激しいのか?この本の賞味期限はあと何年?
2023/03/25
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