暗い傾斜 (BIG BOOKS)
暗い傾斜 (BIG BOOKS) / 感想・レビュー
コチ吉
有栖川有栖のセレクト版で読んだ。私には選者の言うような特に凄いアリバイトリックとは感じなかった。クリスティあたりにありそうな話(?)だし、何より私には情緒的なムード小説の印象が強い。ただ、殺人者の心情を読み解いて行く過程が良い。
2022/12/17
はんげつ
アリバイトリックがすごいですねこれは。もはやトリックというよりタクティクス。現象の無茶さがコテコテの昭和ロマンのおかげかギリギリのところで無理のないものになっている。策謀を隠蔽する手段も犯人の気持ちを想像するとえげつないし、探偵役がそれに気づく足がかりとなる女の論理も古臭い価値観ではあっても納得できちゃったりする。事件が起こるまでが長く、起こってすぐに推理モード!とも行かないが、読み終わってみれば必要な手順だったとわかるし、真相の景色でそもそもそんなものはすべて吹っ飛ぶ。笹沢左保、いいぞ。
2019/05/19
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