驟り雨: 市井小説集 (藤沢周平珠玉選 9)
驟り雨: 市井小説集 (藤沢周平珠玉選 9) / 感想・レビュー
山内正
あらかみさんいたの?と女が帰った事も 朝になってこの人は何だいと 六助は言う 酔うと誰彼無しに連れてくる 腰が曲った婆さんが一晩泊めてやるからと 死んだお袋に似てるんだ 五年前に死んだ 最後は弟に押し付けたが悔いが残ってる 二十日しても帰らずにいる 女房が文句を言い出す ある日大家さんが商家の人を連れてきた おっ母さんこんなとこに 探したんだよ お前達と住みたく無くて出たんだよ 大家の口添えでしぶしぶ帰る気に 又来るからねと
2020/11/19
山内正
行って来ると信助は家をでて、ふき を捨て三年暮らした木戸を抜けた 触れ売りしてた頃矢場に尻を当てられるふきを見てのろい女だと思う 頭の鈍いふきは人の半分も分からず 生きてるのだろうと腹が立つ 仕方なく引取る様にふきと暮す事に 商いを辞めた信助は 店を手伝わないかと女に誘われ暮し始める 賭場の金を貰い女に食わせて貰う ある夜島帰りの亭主と喧嘩になり 必死に匕首で男を刺した 島送りで十年して帰るが ふきを思い出し浅草を探さなきゃ ふきを!
2020/04/02
山内正
今夜は客が付かない 子供が熱がある、もう少しと時間が経つ おたつにやらないかと話に 嫌だった男の相手も慣れてきた 道に出た時人影が近付いた ちくしょうめと叫び万次郎が歩いて 女に会えず許嫁に嫌になり金を使い果たしおしゅんに出逢う 金も払わず抱いて逃げたが 家に帰り人だかりに子供が医者に見せたがと騒ぐ 許嫁の待つ茶屋へ行く道に前から 女二人が 一人が走り寄り首に痛みが手から血が流れた 別の女がおしゅんちゃんと そんな女は知らねぇと走り出た
2020/04/06
山内正
千切り大根が好きな職人重吉がやって来る 他の男とは違う人だ お紋は出戻りと思いがある 弟が金の苦労を持ってくる 帰り重吉と会い男と会ってたのを見掛けたと聞く あれは弟よと 別れしな諦めちゃいけませんぜと手を握る 別れた亭主が何年もしてやって来た 弟の心配をし今度嫁を貰うのでと 勝手にすれば、貰って良いんだなと 歩きながらあの薄らバカと許しを貰い帰る男の姿が目に浮かぶ 弟の借金の話を重吉が 片肌脱いで傷跡を見せ、あっしも気質じゃござんせんと 喜ぶ弟の横っ面を張り二度と付き纏うな てめぇ一人で始末しろ
2020/03/22
山内正
嘉吉は神社の軒下で雨の止むのを待つ道向かいへ忍び込む積りだ 足音で後ろに隠れて声を聞く お店の息子と女子衆が子が出来たと言い合う 今度は男が取り分がと弟分が兄貴分に脅しを掛けて組合い片方が刺されて倒れたがやがて立ち上がり消えて行った 灯りが見えー少し休もうかーと 女は歩き掛け躓いた 思わず嘉吉は出て行った ー話は聞きやしたぜと背を貸した 片手に子供の手を引きこんなふうに夜道を歩いた事が有ると思った
2019/04/05
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