ユリイカ 2013年11月号 特集=中原淳一と少女イラストレーション
ユリイカ 2013年11月号 特集=中原淳一と少女イラストレーション / 感想・レビュー
ヒロミ
【読メ乙女部】高畠華宵と人気を二分していた少女画イラストレーター・中原淳一(活躍した時代は若干異なりますが)。林静一さんと中村佑介さんの対談が良かったです。嶽本野ばらちゃんも寄稿。以前著作の中で花村えい子先生が「中原淳一さんは初期の頃のまだデッサンが甘い優しい瞳の頃が好きです」とおっしゃってましたが私もそうです。夢見るような大きな瞳をした初期の中原乙女(勝手に命名)たちからは運命に対する不可抗力なか弱さを感じてキュンとなるのです。もちろん中期以降の強い意志を感じさせる中原乙女も好き。キリッとして凛々しい。
2016/01/12
伊野
「世界大戦が終わって新しい社会が始まるって時に少女の瞳は大きくなった」(56p)とあるように、戦時中の抑圧の反動として少女(乙女)は生まれた。そして彼女たちが少女らしくあるために必要な情報を中原は提供した。それは、甘美であるが決して優しくはない。作家の嶽本野ばらは制限がエレガンスを生むと言ったが、そういう厳格さがある。また、中原の描く少女は少女漫画の雛形にもなった。他にも、中原は渡欧してパリで生活していたこともあり、当時の作品にはアール・デコ風の、ジョルジュ・バルビエのような画風の作品も幾つか残している。
2013/12/01
春猫
嶽本野ばらが経済的に大変と書いていて、同情したが、中原淳一を褒めるなら褒めるで自分も行動を見習いたいと気持ちだけでも書くべきだったという感想を持った。淳一のお孫さんは俳優になったそうで、寄稿されていた。
2015/02/27
ガジ
中原淳一生誕100周年を記念した特集。今はなきやなせたかしのエッセイがあり、懐かしさを覚えた。没年を確認すると、2013年10月となっている。ユリイカ発行が11月なので、死没後に出たものになるのか....。また、井上雅人や今田絵里香、遠藤寛子など、現在自分が拝読している研究者も筆を取っており、これが出る時期に研究者でありたかったと感じる。 林静一と中村佑介の対談は、少女マンガと中原、それまでの女性を考えるうえでも大変参考になった。
2021/10/28
感想・レビューをもっと見る