ユリイカ 2013年12月号 特集=高畑勲「かぐや姫の物語」の世界
ユリイカ 2013年12月号 特集=高畑勲「かぐや姫の物語」の世界 / 感想・レビュー
jamko
今さらどハマりした『かぐや姫の物語』についてのあれこれを読んでる。アニメーションの革新性に着目した文章が多くそれもわかるのだが、個人的にガツンときたのは古典中の古典の物語をフェミニズム視点で解釈したそのクリエイティヴィティ。その視点でハッとしたのが本書に収録してある小谷野敦氏の『小和田雅子の物語』だ。全ての女性の不自由さもプリンセスの不幸も飲み込む物語の懐の深さ。何度でも見返し考えたい一作だ。
2018/04/15
Ecriture
線の持つ力にやりたいようにさせ、面を作らないようにするアニメ作品『かぐや姫の物語』。西洋の枠内を支配して描き切る構図ではなく、描き切らないことを心がけて初期の映画作品のような、意図せずして映り込む他者を引き受けるアニメ作品を追求している。現在を享楽する日本の精神を罪として持つかぐや姫が、それでも日本に惹かれ続けるこの作品は、プラトン的なイデア世界(月・面のアニメ・構図の支配)の優越性の否定としての現実(地球・線のアニメ・描き切れなさの享楽)の可能性を示している。
2014/01/01
poefan
日曜日の朝一番中型劇場で10人ほど。約3時間絵本の世界に深く広く浸っていたような強烈な印象の映画。「風立ちぬ」以上に復習したくなる映画でもあった。「ユリイカ」は多角的な特集を組んだがそれでもまだ何か重要なことが欠けている気がした。
2014/02/06
とらみて
また改めて映画を見たくなったけど、とっくに終わってた(泣)
2014/03/22
eraser head
かぐや姫の罪とは何か。前世での罪(姦淫の罪?)のために地球に送られたとするのがポピュラーなもののようだが、前世の地球での記憶を忘れずに留めたままであることが罪であるかのような観方から考えてみたい。本作のわらべ歌は記憶を呼び覚ます鍵であり、地上の美しさを観ずる(ファンタジー)と同時に、空なる世界としての月に帰らねばならない運命を予感させる(リアル)。夢落ちを利用してファンタジー描写を相対化させ、観客の視線を豊かなアニメーションへ耽溺させながらも、やがて喪われることを(説明としてではなく)見て取ってしまう。
2013/12/09
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