現代思想 2018年6月号 特集=公文書とリアル
現代思想 2018年6月号 特集=公文書とリアル / 感想・レビュー
またの名
仏人自動車会社会長は書類偽造がきっかけで逮捕されたが公文書を改竄しても捕まる下手人は誰もいない、ミステリアスな統治体制の国を特集。かと言って文書の管理が非常に緩い社会なわけでもなく、民衆にはレシート一枚のことですら厳格な運用を求め何に必要なのか誰も分からないほど複雑な書類手続きを課す「非常に優れた文書主義の国」としてかつては知られた過去も。平成最大というか戦後あるいは近代化以降最悪の背任事件を前に基本的には各論者がそれぞれの批判や指摘を行うにとどまるけど、デジタル署名技術による偽造防止案の提示なども掲載。
2018/12/26
ぷほは
現代思想のレベルが落ちたのか、たまたま今回がハズレかは分からんが、どうもエッセイとトーク記録ばかりで本格的な考察がないのが気になる。現在進行形の事態を扱っているので誰も本格的に書きたくないという気持ちが分かるが、それにしても公文書の専門家ってこんな少ないのかと。みんな判で押したように(官僚的に!)ウェーバーの官僚制を取り上げ、グレーバーに言及し、現状に憂慮してみせる身振りだけはご立派なのだが、中身がすっからかんか現場の苦労話かのどっちかに終始してしまっている。しかし巻末で思わぬ拾い物もあったのも事実。
2018/06/02
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