現代思想 2019年2月号 特集=「男性学」の現在 ―<男>というジェンダーのゆくえ―
現代思想 2019年2月号 特集=「男性学」の現在 ―<男>というジェンダーのゆくえ― / 感想・レビュー
金城 雅大(きんじょう まさひろ)
男性の強者性と弱者性、換言するなら加害者性と被害者性は当然同時並行で存在するものであるが、それらを同時に考察しようとするとどうしても矛盾が発生する。 それはまるで、立体的な世界を平面の世界地図に表すが如き苦悩であり、メルカトル図法であれモルワイデ図法であれどこかしらに必ず歪みが生じてしまうような現象なのだ。
2019/05/05
nbhd
ウーと疼きながら、つまみ読みして、僕の関心の輪郭を確認した。これまで男性学は、男性の加害者性と被害者性をそれぞれ別に取り扱ってきた。けども、僕の関心は「加害者兼被害者」のモヤモヤにある。杉田俊介さんは、その二面性を生き続けるほかないとしながら、段階的に「①男も痛みや傷、恐怖を手当てし、ケアしてよい」「②差別性と加害者性を自覚し、そこから降りつつ、社会変革をめざす」とする。この順番は、とても大切で、個人的には①に対処せずに②を急ぐと、反動的にアンチフェミニズムに向かっちゃいそうな不安がある。
2021/02/16
ルンブマ
上野千鶴子氏によれば男性学とは、「女性学の視点を通過したあとに、女性の目に移る男性の自画像をつうじての、男性自身の自己省察の記録」を指す。そしてその省察の果てにあるのは、男性自身の身体性の肯定である。と。
2019/08/12
T.S
「男」であることに罪悪感と嫌悪感を抱くことがある。ふとしたときにはっきりと。それは優越感や劣等感を抱くときが多い。「男らしさ」から下りることを、ジェンダーを学び始めた4年前から意識している。「男らしさ」ではない何かを掴めないかと思う日々だ。本特集で印象に残った「身体性」という言葉。男性の身体性の不在や身体の他者性というものが問題となっていたが、具体的にどうすれば良いのだろうか。やはりその部分は自ら掴まないといけないのだろうか。なかなかに苦しい毎日だ。
2019/11/15
xxx
男性学とは男性が抑圧されていることを研究するものではない。ヘゲモニックな存在である事、時には抑圧者になることを問題提起しなければならない(男性間の中の差別、ゲイ男性の存在なども考察されねばならない)。男性学に含まれるCSMM(男性性批判研究)がそれである。すなわち単に男性を研究するのではなくフェミニズムと同列に語られうる学問である。
2019/02/23
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