現代思想 2021年5月臨時増刊号 総特集◎陰陽道・修験道を考える
現代思想 2021年5月臨時増刊号 総特集◎陰陽道・修験道を考える / 感想・レビュー
佐倉
陰陽道と修験道、明治維新を期に失ってしまった知識・信仰についての研究の前線を読める。『「新しい安倍晴明像」の始まり』細井浩志は史料から読み取れる晴明の姿を追う。内裏火災と宝剣の復元を切っ掛けに一段下に見られていた六壬式の使い手だった保憲・晴明師弟が躍進し晴明も40代にして正式に陰陽師として官職を得るなど興味深い話だった。『東アジアの中の陰陽道』水口幹記は陰陽道を術数文化という括りで捉えていく。古代朝鮮・ベトナムと天文学と仏教僧の関わりが見られる中、陰陽道の特異性を仏教との分離に見る。
2024/07/15
不純文學交遊録
陰陽道と修験道、いずれも一冊に値するテーマであり、本誌は400頁を超える。それぞれの研究動向はZoomによる討議で。小松和彦『いざなぎ流の陰陽道的側面』、宮家準『修験道の歴史』は大御所クラス。安倍晴明なら山下克明『古代・中世の陰陽師』、細井浩志『「新しい安倍晴明像」の始まり』。役小角については安藤礼二『聖不動論』、碧海寿広『役行者と近代仏教』。日本の宗教史研究が海を軽視してきたと批判するファビオ・ランベッリ『山の彼方、大海へ』は刺激的。食、疫病、天狗信仰など現代に通ずる論考も多い。
2022/03/06
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