銀河鉄道の夜とは何か 新装版: 討議
銀河鉄道の夜とは何か 新装版: 討議 / 感想・レビュー
❁Lei❁
「銀河鉄道の夜」の原稿の混乱が整理され、初期形から最終形までが分類・比較・検討される過程を記した研究書。本作品の研究の第一歩はここから始まったと言っても過言ではないと思います。多くの人の努力で現在の土台が作られたのだなとつくづくありがたく感じました。原稿の異同の表や、関連がある詩や童話の解説なども充実しており、「銀河鉄道の夜」研究の基本として読んでおくべき一冊だと思います。
2022/10/18
へくとぱすかる
『銀河鉄道の夜』ほど本文の変転した作品はないだろう。かつてストーリーが混乱していたのは作者の責任ではなく、原稿を正しく読み解けなかったから。テクスト・クリティークとは実にスリリングで、ミステリを読む、あるいはそれ以上の知的興奮が得られる行為なのだと再認識させられる。なによりも原稿の解読で明らかになった、賢治の文学観には驚くほかはないだろう。近代文学でこのような文学・世界観は賢治以前にはなく、以後も比肩できるほどの作家は、そうはいないのでは?
2013/09/28
三月/深冬Rain
銀河鉄道の夜は何度も改稿を繰り返しているのは知っていたが、一度完成させた原稿からの脱却そのものを方法論として、時間軸の変化を加えた「四次元的芸術」を賢治が模索していたとは…。衝撃。改稿で消えたブルカニロ博士のシーンを読むとこの物語のテーマが「プレシオスの鎖を解く」=人間では通常成し得ないあらゆる人の一番の幸福を探すことにあるのだというのがより明確に分かってくる。そしてそういうことを求めざるを得ないところにジョバンニの、そして作家宮沢賢治の不幸があるのだとも…
2022/04/24
佐々木 駿
病気のお母さんのところには牛乳がない。老母買う町あらずやつばめよ。
2016/07/31
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