考えることを考える 下
考えることを考える 下 / 感想・レビュー
やまやま
評者も自由意志のトピック、特にジレンマを感じる事例は刑罰と責任に関する問題が多いと感じていますが、筆者からは、それは枝葉の議論で、どのように考えれば決定論の示す人間の尊厳の消滅(「経験機械」を空想した筆者風の表現ですが)から再起できるかが中心議題となります。リバタリアンたる所以でもありますが、自由な行為の積極的な説明を、非決定論として行いたい願望が随所にあります。人間にとっての価値の存在を追跡可能かつ連結可能なものとすれば、その追求はまさに自由意志です。では、正しい価値は存在するか、に戻ってきます。
2022/08/06
roughfractus02
原題「哲学的説明」を主題とする本書は、従来の形而上学、認識論、価値論を巡りつつその前提を問い詰める。下巻は価値論の領域を人文/自然の両科学から様々な思考実験によって書き換える。自由意志では自由意志が存在しない決定論的世界から自由意志を問い、倫理学では道徳を力と捉え、力学的に押す道徳(行動を促す)と引く道徳(行動を引き寄せる)として区別して、前者を古代ギリシャ以来の倫理学、後者をユダヤ的伝統に割りあて、両者の均衡と調和の可能性を探る。さらに「人生の意味」は哲学的説明の有効性をも問う価値の実験と捉え直される。
2018/06/12
なつき
【はしプロ哲学23】『考えることを考える(下)』読了。ロバート・ノージック。坂本百大訳。青土社、1997年。はしプロとして読んだんだけれども、まー、この本のおうわさは哲学徒としてかねがねという感じよなあ!現代そしてこれからにおいて哲学を営むひとは読んでおいたほうがいい気がする。
2017/08/11
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