マゾヒズムの発明
マゾヒズムの発明 / 感想・レビュー
またの名
鞭打ちを欧米で体罰として行っていたのに相当前から性的快感を得るツールになってしまい、19世紀には体罰としての機能が崩壊。社会的政治的側面を重視する著者は、処罰し訓練する管理機構の暴力をそっくり模倣して再演し自分の快楽へコード化し直してしまう戦略と、同時に暴力を無害化しエロス化するに留まって個人の一時的消費で終わらせてる両義性をマゾヒズムに見る。マゾッホはもちろんそこからSM概念を創ったクラフト・エビング、古今の文学、精神分析理論を読み解き、秘密警察も強制収容所もヘーゲル哲学もパロディ化する倒錯に迫る力作。
2018/03/13
あかふく
マゾヒズムを経済的、政治的なものへと近づけていく試み。先行するものとしては、言及はもちろんないが、西成彦『マゾヒズムと警察』があるか。マゾッホが『毛皮を着たヴィーナス』を書き、クラフト=エヴィングが『変態性欲心理』を書いた20年間は、帝国主義的男がリベラリズムによってマゾヒスト化されていく過程でもあった。主体が(それこそマゾヒスティックに)消去されていくようでいて、結局外部の力のコントロールという形で「ゲーム的」に行われる行為がマゾヒズムなのである。表象の世界。サドともつながる(スタロバンスキー)。
2013/02/18
なめこ
著者のいうマゾヒズムとは、「ある特定の時代にある特定の状況に置かれた個人が自我を守るためにある種の幻想を主体的、積極的に演じることであり、ある特定の必要のもとに発明された行動パターン」である。読みながら、引っかかるところもあったけれど、著者の、マゾヒズムとは、生物学的要素に起因するものではなく、上にいったような、ある社会的、歴史的状況のもとに生まれるものである、という、一貫した主張には、納得させられた。これまでことばにすることができずにいた、自分の、マゾヒズムに対する希望みたいなものが、少しわかってきた。
2014/10/22
陽香
20020107
毒モナカジャンボ
面白すぎる
2021/05/18
感想・レビューをもっと見る