小説のストラテジ-
小説のストラテジ- / 感想・レビュー
マウリツィウス
佐藤亜紀の言語芸術論は契機を呈する。弔いのナボコフの姿を投影し啓示としてこのストラテジーを捧ぐ。間テクスト性とはギリシャ叙事詩時代より継承され古典啓蒙を経て現代に確立、その系譜を誤解する現代思想家達を逆否定、ポストモダニズム社会とは一重の価値観に統合すべきで古典再帰論はバルタザールの帰還を望み続ける。二十世紀ウィーンを支配した国家像とはこの戦略に連なり思考精緻回路は宇宙論を再構築していく。ラテン=ローマ古典基盤生存は続く、多様価値論は絶対的客観定義の剥奪誤謬に与えられることはけしてない。テクスト共時論。
2013/05/21
マサキチ黒
佐藤亜紀氏の早稲田大学文学部での講義をほぼ纏めた一冊。佐藤さん信者なだけではついていけません。引用すれば「ほとんどカラヴァッジョ的な陰影と緊張」「この声に何も感じないとしたら、小説を読むのはそもそも無駄でしょう。(ハドリアス帝の回想について)」私の持つ佐藤さんの著書、読み直さなあかんな。
2021/07/23
ぼのまり
著者が大学の講義で行なった内容について、覚書をまとめなおした本のようだ。大学の講義というと、お堅くて眠気を誘うようなものを想像してしまうが、それとは対極にあり興味深い内容である。小説の読み方について、ちょっと違う感覚を得ることができる1冊でした。
2013/07/28
加藤
名著すぎる。もっとはやく読めばよかった。"受け手に対しても読み手に対しても、従って、まず要求されるのは表面に留まる強さです。作品の表面を理解することなしに意味や内容で即席に理解したようなふりをすることを拒否する強さです。"映画観てすぐにイシューを引き出そうとする感性の、救い難い凡庸さ。自戒。"読むに値する作品の中で機能する重要な要素であることによってのみ、マイノリティの特殊な問題は普遍的な問題になるのです。"
2022/05/09
dokusyotyu24
読み進めるうちに、自分が小説をちゃんと読めているのか不安になってきた。私は小説から得られるはずの快楽を本当に享受できているのだろうか。小説を「記述の運動」と「物語」という要素に分けて論じる前半の章が興味深かった。
2021/11/24
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