アメリカ: 非道の大陸
アメリカ: 非道の大陸 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
かつて「ユリイカ」に連載されていた、アメリカの各地を舞台にした連作短編集。多和田葉子さんの作品は、これまで『犬婿入り』しか読んだことがなかったが、その時の印象とは随分と違っている。最終章の「無灯運転」だけが書き下ろしなのだが、こちらのシュール感はまさしく多和田作品と安心する。連載の短篇は作家自身が違ったタッチを試みていたのだろう。ロスやシカゴや砂漠の街と、アメリカ各地が舞台に選ばれ、「あなた」(それは読者である私でもあるか)が移動してゆくのだ。個々の作品も、そして全体としても"アメリカ"感が横溢している。
2013/07/07
どんぐり
「さあ、出発しましょう」と、あなたはまるで異邦人のように自分を見つめながらアメリカを大陸移動していく。真昼の大型スーパーマケットの駐車場、そして夜のガソリンスタンドは寂しい場所だと言い、車を運転するあなたは、免許を持っていないのにネオンの花咲く夜景に滑り込んでいく。第1章の「スラムポエットリー」から第13章の「無灯運転」まで、異邦人としての「あなた」を描いた作品集。あなたは、多和田さんなんでしょう。
2018/11/05
なゆ
私の知っている多和田さんぽくはない気がしたけれど、ほかにはない独特なドライさと空気感はやはり多和田さん。なんともいえない、“あなた”と一緒にアメリカ大陸のあちこちを連れまわされてる気分になる不思議な小説。多和田さんとアメリカなのも意外な気が。そう、私は“あなた”は多和田さんという気分で読んでいた。さらさらと読めそうで読めなくて、印象に残らなそうでふと思い出してしまう作品かな。わりと好き。
2018/02/01
takaC
「非道の大陸」の意味は不明だった。
2016/11/30
蘭奢待
連作短編集。一つ一つの物語に関連はない。夢か現実かわからないような不思議なストーリー。「あなた」という一人称を使うところが、容疑者の夜行列車と同じだが、作風も同じである。こちらの舞台はアメリカ。タイトルからしてジャーナリスティックな内容を連想したがさにあらず。注意深く読み進めるも、社会的、政治的なテーマはおそらく、無い。
2019/02/09
感想・レビューをもっと見る