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文學少女の友

文學少女の友

文學少女の友

作家
千野帽子
出版社
青土社
発売日
2007-03-01
ISBN
9784791763214
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文學少女の友 / 感想・レビュー

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harass

著者が雑誌に乗せた記事を再編集した文学エッセイ。文藝ガーリッシュの次に出た本のようだ。豊富な引用と作品で各テーマに添って論じる。軽井沢とニートとジャンル小説についてが、特に興味深かった。ミステリSF小説については、先日某新本格モノを読んでいたせいもあるが、長年の違和感を解消させてくれた。いろいろ刺激的な考察ばかりだ。文庫化ならんかな。「かつて稲垣足穂は室生犀星に〈美少年は君、ホータイをするものだよ〉と聞かされて〈降参した〉そうです」(耽美と人形)

2017/05/20

美羽と花雲のハナシ

表紙のアリスがウサギ穴に落ちるように、文學少女は活字という夢の世界に落ちる。小川洋子の物語論を始め、倉橋由美子、金井美恵子、笹野頼子、松浦理英子などを紹介。小説が人工物、一種の冷たさを帯びる、読者を突き放す存在に対して。江國香織、恩田陸、野中柊、宮部みゆき、唯川恵などは。小説が共感物、一種の熱さを帯びる、読者に寄り添う存在と成る。男が描く理想の少女像と実際に女が共感できる少女の違いが面白い。鋭く厳しくもあるが愛に満ちた評論に文学が更に読みたくなる。恋に似た憧憬と激情に胸を焦がせ、美しい世界に心臓を捧げて。

2013/10/04

りりす

〈成熟した女の人にふりかかるうっるさいセックスや良妻賢母などの抑圧をふり払わんがため〉に〈少女的な生き方や表現を選ぶ人がいる〉。けれどもそれを見て理解できない人達に、〈未成熟だ〉とか成長拒否だとか的はずれな事を言われてしまう。そうです。「良いお嫁さんになるね」なんて褒め言葉のつもりで言ってるんだろうけど褒め言葉じゃないし、好き勝手消費されるのも勝手に値踏みされた挙句消費の対象外として遺棄されるのもうんざりだから、私はそれらの圏外で暮らしたい。なるべくそういう抑圧のことは知らないふりを、していたい。

2016/02/28

不在証明

文庫の解説で時たま見かける千野帽子さん。良いコト言ってる、と思うこと多い著者ですが、本書は章ごとにまとまりがなく引用と書き殴りでできているような気が。というか口悪い。愚民とか平気で言ってる。脳味噌すっからかんな読者はお帰りくださいと言わんばかりに煽ってます。

2015/11/24

三柴ゆよし

ライトな書名・装丁とは裏腹に意外と読ませる文芸エッセイ。千野氏のいう「文學少女」とは、斉藤美奈子氏の定義する「踊る読者」にニアミスする概念なのだろうが、この人の場合、斉藤氏と比べて視野狭窄な感が否めない。本の読み方に対する選民思想(例えば、p143「あなたが<ノンフィクションは実話だから面白い>などという愚民に属するとは考えられませんが」)が全体の価値を下げている。いみじくも氏自身が触れているように、早急な「中二病」治療を必要とする。俺も人のことはいえないけどね。

2009/09/23

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