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カタコトのうわごと 新装版

カタコトのうわごと 新装版

カタコトのうわごと 新装版

作家
多和田葉子
出版社
青土社
発売日
2007-04-01
ISBN
9784791763306
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カタコトのうわごと 新装版 / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

様々な媒体に書かれたエッセイ(一部に書評と創作を含む)。彼女のハンブルク時代のもののようだ。この時期の(今もそれは基本的には変わらないだろうが)多和田の関心はもっぱら言語。ここでも言語をめぐる言説がほとんどである。私などには想像もつかないが、2言語(日本語とドイツ語)で小説を書くには、それぞれの言語で思考をなしているばかりか、感情のあり方を含めて構造が異なるのだろうか。彼女は、創作時におけるそのあたりの機微を明かしてくれてはいるのだが。ドイツには、ドイツ語を母語としない作家が多数いるらしく、なんとも⇒

2022/03/09

踊る猫

多和田葉子は頭脳派だと思っていた。明晰な知性でドイツ語と日本語を流暢に繰り出し、双方の言葉の「いいとこ取り」をして洗練されたチャーミングな作品を書く、と。だが、このエッセイ集を読むと彼女が言葉がはらむ矛盾やゆらぎなど「穴」としか言いようのないものに素早く反応し、その「穴」が生み出すカオスを引き受けて生きようと全身で試みているのではないかと思う(どうしても大袈裟な言い方になるが)。いわば肉体派、と書いてみて私自身この言葉が下品なエロスを備えているのではないかと脅え、彼女に倣って造語を書きたくなる。身体派、と

2022/08/05

R子

著作について、翻訳について、書評に短編小説に...と盛り沢山な1冊である。いずれも著者の、言葉と真摯に向き合う姿勢がうかがえる。「ドイツで書く嬉しさ」で書かれている日本とドイツの文芸事情の違いには目から鱗だった。また、日本で若い女性の作品が“ミズミズシイ感性”と評され売り出されることへの違和感に共感した。あと、「翻訳者の門」「ラビと二十七個の点」のツェランの詩の解釈が興味深い。翻訳の難しさと言葉の不思議を考えさせられる。

2014/10/28

rinakko

再読。日本語での初期エッセイ集、あらためて面白かった。おおっ…と引き込まれて読んだのは、「文楽」的な面から富岡文学の特色をわかりやすく読み解く「舞台のある小説」や、『硝子生命論』の書評「人形の死体/身体/神道」、ツェランの詩と翻訳についての話「翻訳者の門」、「ハムレットマシーンからハムレットへ」…などなど。 あと、巻末の「二〇四五年」は、『献灯使』へと繋がっていくような近未来もので、とても好きだ。冒頭、“二〇四五年ともなれば、妻という妻は食パンで出来ている。

2016/01/18

mei

職業柄というのか、複数の言語で生きることについて書かれた文章、中でも女性によるものにはつい反応する。 私も、いわゆる「上手い日本語」や「綺麗な日本語」を信じているわけではないのに、外国語になると俄然びくびくして、ネイティブから「そんな風には言わないよ(つまり不自然)」と言われる可能性を恐れがちなのは、当然といえばいえるが、そこをこそ面白がっていきたいなぁと、多和田葉子を見ていると思う。 ドイツでは、ドイツ語で書いている外国人作家が多くいるとは初めて知ったが、とても素敵だし、勇気をもらえることだと思う。

2019/04/08

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