文学拡張マニュアル ゼロ年代を超えるためのブックガイド
文学拡張マニュアル ゼロ年代を超えるためのブックガイド / 感想・レビュー
しゅん
文芸時評、ジャンル小説、詩論というおおまかな三部構成の中に多和田葉子、飛浩隆、伊藤計劃のインタビューを挟んだり締めが保坂和志との対談だったりと変則的な構成の一冊。タイトル通りのブックガイドとしても十分に通用するが、「私」と「時間」をどれだけ自由に捉えられるか、強固な自意識や一方通行な時間性の呪縛から解かれるための感性・知性をどう磨いていくかというテーマが底流していて、前述した構成もそのことと関連しているだろう。永遠に続くような問いだが、藝術はそもそもそういう問いかけを続けてきたもののような気がする。
2017/06/25
おーしつ
文学は拡張を試みないと、すぐに圧縮してしまうのでしょうか。もしくは拡張ではなく拡散ならしちゃいそうだけど。 保坂和志との対談は面白かった。あと巻末の作家ガイドは役に立ちそう。
2010/11/13
袖崎いたる
表紙にもあるように?たぶん佐々木敦は(島尾敏雄?ー)小島信夫ー保坂和志ー磯崎憲一郎の系譜に肩入れをしている。保坂和志との対談おもろい。カフカの訳について熱く語っている。某文庫版のが価格高騰したのはこのあたりに原因があるのではないかと思うが、どうなんだろう。
2022/12/03
三柴ゆよし
まさに「絶対安全」といった趣きの批評には好悪の判断がわかれるだろうが、第一線の文学事情にとことん疎い僕のような人間にとっては、救いのような一冊だった。現代日本文学のブックガイドとしては、目下のところ最良のものでしょう。もっとも、文学の「拡張」なんてことは、いうまでもなくみんなわかってることだと思うんだけど……。声を大にしたい気持ちもわからないではない。
2010/04/10
梨
現代文学にすっかり疎くなっていたので良いリハビリになった。ジャンルの侵食や舞城古川らの先端的(?)な作家に好意的な書評には賛同しつつも一抹の胡散臭さを感じる(それはこの本の著者に限らず)。個人的にはこういうところですら取り上げられない北野勇作を不憫に思う。
2010/07/19
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