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アマリアの別荘

アマリアの別荘

アマリアの別荘

作家
パスカル・キニャール
高橋啓
出版社
青土社
発売日
2010-05-25
ISBN
9784791765485
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アマリアの別荘 / 感想・レビュー

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syaori

ずっと波の音にも似た低いリズムに身を浸しているようだったのですが、この物語の主人公アン・イダンの作る「とても短く儚い楽曲」たちもこんなふうだったのでしょうか?「ずっと逃げている」と言う彼女の人生。自身を不幸にしてきた「受け身の強情さ」は、静かだけれども断乎としていて、その生き方は読み手である私の共感をも拒むようで戸惑いを覚えるほど。しかし最後は広い世界に背筋を伸ばして凛と立つ、孤高の一人の女性の姿が残るばかりで、その美しく凛々しい姿に泣きたいような気持ちになりました。おお、何と彼女は/「孤独を崇めるか!」

2017/08/04

zirou1984

心地良い痛みは水面に足を付けるあの瞬間のようなものだろう。ひんやりとした他者に浸り、沈黙に包まれた時になぜか感じてしまう安堵感、そんなものを本作から感じてしまう。良識ある夫の浮気に倦んだ現代音楽作家、アンの選択は痛みを伴いながらも、それに屈しない強さも合わせ持っている。その中では孤独も不幸もシェイクされ、上等なマティーニとして差し出されているかのよう。読み進めるほどに沈黙に浮かぶ内面に新たな発見が沸いてくる、自分にとって感情が別荘を見つけたような良質な体験を味わえた。

2017/06/26

ともっこ

詩のように断片的なシーンを繋ぎ合わせた独特な小説。 芸術は時にすべての人には理解されにくく、しかし熱狂的な支持者がつくものだ。 残念ながら私は、この孤高の主人公を理解し切れない大衆側だったようだ。 途中投げ出しそうになりながらなんとか読了。 初めてのキニャールだったけど、私には合わない小説だった。 次は『約束のない絆』を読んでみる。

2022/02/27

傘緑

「本はお気に入りの片隅で読んだ…キャサリン・フィリップスはその詩のなかで、こう書いている。孤独の声が宛所なく魂の奥で立ち上がる、太陽光線のごとく非物質的、自然のただなかの恍惚、時の降誕」 人生の半ばを過ぎ傷んだ女性が放浪の先で一軒の魅力的な廃屋とともに新生へと歩み出す…まさかのパスカル・キニャールの現代小説である。文体は変わらずに贅肉を排した硬質なもので、「小論集」と同様に研ぎ澄まされたアフォリズムのような短文が随所に見られる。ただ文章の中にインターネットや携帯などの言葉が躍るときの違和感が尋常ではない。

2016/09/08

イシザル

「余白」が大変多い。話の筋が切れた後、「余白」になった光景に人物が動き続けてるように映像を連想する。伏線回収しなくてもしっかりした意図があるから「余白」で時間が動いてる。

2019/10/25

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