スティッチ あるアーティストの傷の記憶
スティッチ あるアーティストの傷の記憶 / 感想・レビュー
くさてる
幼いころから傷を抱えた少年の成長記。傷は、母との関係からもたらされる心に残るものでもあり、首に出来た腫瘍を切り取った後に出来た身体の傷でもある。両者は溶け合ってひとつのものとして成長して、少年は家族ではない他者から、真実を告げられることで救いを得る。薄暗く広がる陰影の巧みさと手書き文字での独白と台詞が、なにもかももやにかかったような過去の回想の表現として素晴らしい効果になっている。最初は読みにくく感じましたが、読み進めていくとやめられなくなりました。良かったです。
2014/02/18
waraby
2009年に出版された David Small のグラフィックノベル。当時話題で原書も買って読んだんだけど、まさか邦訳は出るまいと思っていた。そしたら、青土社から2013年に出ていたとは! 邦訳出版についての話は、訳者あとがきにかかれている。好きな絵本作家が、こんな少年時代を過ごしていたというのは、とても不思議で、でもどこか納得している自分もいる。訳者の藤谷文子さんは、女優・文筆家。
2015/04/07
bumblebun
『スティッチ』というタイトルは目にしていたけど、ディズニーの本だと思っていた。デイビッド・スモールの自伝だとは。 スモールを知ったのは『リディアのガーデニング』が最初。あの明るくて、温かい絵本をつくった人がこんなすさまじい少年時代をすごしていたなんて。 「君のお母さんは君を愛していない」 この言葉が子どもを救うこともあるんだ。 あらためて『リディアのガーデニング』を読むと、むっつりしたおじさんや、壁に囲まれた都会の生活に込められた思いを感じる。
2014/01/23
千利休
途中まで。非常に映画的で膨らみのある余白。
2021/03/27
香月謙信
最初は絵本的なものかと思って読んでいた。読み進めるとずっしりと重く、心から離れないモノクロの絵とモノローグ。6歳の頃、私は何を考えて何を見ていたろう。覆い隠していた自分の心の底も少し覗いてしまったような、そんな気になってしまう不思議な本。
2014/08/20
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