戦後サブカル年代記 -日本人が愛した「終末」と「再生」-
ジャンル
戦後サブカル年代記 -日本人が愛した「終末」と「再生」- / 感想・レビュー
HANA
題にはサブカル年代記とついているが、実際はサブカルに限らず社会全体の動きを追ったもの。期間は七十年代から新国立競技場問題と最近まで。年代が長く書かれている出来事も多いせいか、分析が浅く出来事の流れを追ったような感じになっているような気もする。あの事件はこの時代にあったのか。とふと感慨に浸る事もあるが、それもあくまで懐古趣味の域を出ないしなあ。副題に「日本人が愛した「終末」と「再生」」とあるが、それが中心となっているのは大体七十年代と九十年代のみ。何故あの時代にだけ、ひりつく様な終末観があったんだろうなあ。
2015/09/16
ぐっち
帯や目次の作品に心当たりありまくりで手に取った。戦後から今年までの政治・経済・事件や災害と、その年代に流行した終末感のある作品を、この作者の「終末と再生を待ち望む」文脈で語る年代記。作者に近い世代には「あったあった」の連続だと思う。1冊で70年を語っているからか、掘り下げも紹介もやや雑な感じがあり、人物紹介で書かなくていいことがちょろっと入っていたり、災害や事故も軽い扱いだったりと、ちょいちょいひっかかった。それにしてもこれがまるっと「サブカル」なら、戦後の日本の「メイン」カルチャーとは一体何なんだろう?
2015/09/26
wasabi
戦後の高度成長期以降を10年刻みにし、サブカルチャーを通して政治、事件、災害、そしてメインカルチャーを包含した世相を振り返る。メインとサブの境界は感覚的なものだけど、各時代に生まれたアニメ、映画、音楽、小説に込められた意図を見事に考察してくれる。かつて抱いていた科学の進歩による明るく拓けた未来像が、いつしか化学の進歩(核開発)による荒廃した未来像へと変遷していったって、なるほどそうだ。「終末」と「再生」を繰り返すのは人の世の常なれど、再生不能な終末へと向かっている恐怖がある。
2016/01/12
arnie ozawa
タイトルどおり、年代記としてまるで歴史の教科書のようにフラットに描いていく。それを通してわかることは「戦後」と言いながらもサブカルにさえ通奏低音として流れているのは現在に至るまで「戦争」であるということ。サブカルの捉え方もかなり広く、戦後史としてもまとまりが良いので中々の好著。
2016/05/01
ありんこ
戦後に生まれて、昭和平成と時代を経てきて、いろんなことがあったなあと振り返りながら読みました。子供のころはどうしてそういうことが起きたのか、わからなかったことも、こうして解説してもらうと、それに関連する文化や思想など、いろんな背景が分かっておもしろいですね。本のタイトルがでてくると、なんだか読みたくなってしまう・・・
2015/10/30
感想・レビューをもっと見る