殺人の人類史 上巻
殺人の人類史 上巻 / 感想・レビュー
Smith, Ordinary. Person.
優秀な統治をした一方で、残虐な鏖殺や虐殺を行った統治者。善行をする一方で、異端には残酷な拷問や刑を執行する宗教者。世界平和を訴える一方で、異論を述べる者には苛烈な口撃を行う活動家。人間が持つこの二面性は果たして、一個人に限られる固有の特徴なのか、それとも万人に認められる普遍の本能なのか。異色の批評家であった父の遺稿をもとに、その息子が血に塗れた人類史を紐解きながら、人類の根本にある「邪悪な何か――人に残酷な行為をさせる因子」について考察を試みた、コリン・ウィルソン流人類史研究の集大成。(コメントに続く)
2023/08/20
ワイルドストロベリー
進化論の部分は興味深い。二足歩行は水性人類猿であったからなの‼そしてローマ帝国、奴隷制度、戦争、民族浄化。日本の南京大虐殺の部分は、読むのが辛く、目をおおいたくなった。人類の歴史はあまりに残虐で、恐ろしい。
2017/05/12
田中峰和
南アフリカでアウストラロピテクスを発見したレイモンド・ダートは、人類はイングランドに発祥したという信仰に敗れたが、後に完全な頭骨化石が発見され名誉を回復した。その後、彼は人類の祖先は肉食習慣へ移行したことを想定し、またも物議を醸す。密林からサバンナに出た前人類は、捕食者から身を守るため自ら捕食者になったのだと。草食に比べ、肉食はエネルギー効率が高いので、ライオンはほとんど寝転んで過ごす。肉を得るため祖先は殺し屋となり、あらゆる野蛮と非道の歴史を歩んだ。悲惨な争いの歴史はカインの殺人傾向を示しているのだ。
2017/01/13
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