たん・たんか・たん 美村里江歌集
たん・たんか・たん 美村里江歌集 / 感想・レビュー
ぐうぐう
この歌集がユニークなのは、作歌の過程を綴るエッセイが挿入されているところだ。言わば、短歌のメイキングが読みどころのひとつとなっているのだが、それが魅力的な読みものとなっているのは作者である美村里江が短歌の初心者であるからに他ならない。「ユリイカ」の短歌特集での依頼から始まった作歌が、歌集にまで発展する流れの中で、試行錯誤を繰り返し、自らに毎月五十首の歌を作ることを課しながら、担当編集者の査定を受けつつ、歌集に入れても良いレベルの歌を選出していく。(つづく)
2021/03/18
tom
太陽の匂いって結局なんなのか少し古くてほんのり清潔、夕立に抱きすくめられて浸りきり締め可笑しさ滴る家路、初めての街角で夕日懐かしむこの成分はどこ由来かね、などなど、面白い句が幾つも。作者は、女優(らしい、私は見たことないのだけど)。この人の作った句とエッセイが交互に。演技をするという体の言語化のお仕事と言葉を選ぶことを突き詰める作業との関連性が書いてあって、これがなかなか面白い。
2020/06/17
mer
色々な本を読まれているからか、一つ一つの歌にそれぞれの色があったり視点も様々で読み応えがあった。短歌を詠むにあたって参考にした小説などが掲載されていてそちらも読んでみたいと思った。
2020/12/22
comet
美村さんの御人柄にときめく。歌も、エッセイも、言葉選びの誠実さ丁寧さ、わかりやすい、そのまま。
2021/06/06
藤
ゆるりと風雅なうたづくり。俳優の短歌作りというとそんなイメージが浮かびそうだが作られた短歌とそのライナーノーツのようなエッセイを読むと、千本ノックを課すように作られたものだったことがわかる。 淡々とストイックに静かな情熱を持って臨む姿勢は美村さんのお芝居からも感じる印象に通ずるものがある。また個人的には凄く好きだった彼女の向田邦子役についての文章も読めて望外の喜びだった。
2022/02/09
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