それを読むたび思い出す
それを読むたび思い出す / 感想・レビュー
trazom
昨年「(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法」を読んで、この人面白いなあ思った。そんな三宅さんの自伝エッセイ。テーマは、地元/京都/読書。世代は違うのに感性が一致する:「退屈が自分の養分」「贅沢な時間とは必要のない余白を持て余すこと」「本屋を見かけると無条件にいいなと思って足を踏み入れてしまう」「土曜の夜が一番好き。一人で本を読んでいて深夜零時を回ると、ずっとこのままでいいのになあと思う」「本は、自分が辛い時、唯一そばにいてくれる他人」…この人、本当に本が好きなんだ。
2022/04/06
livre_film2020
人生の重なっている部分と重なっていない部分。それがそのまま読んでいる本と読んでいない本の違いになっている気がした。文章を読んで「結構ナルシストなんだなあ」と率直に思った(元読モをやっていた知人と話し方が似ているせいでそう思うのかも)。だが、これはエッセイだ。著者が好きに自己について語るのが良い。三宅さんは本に囲まれ、本に人生を狂わされ、本と歩むことを決めたその人生のあらましを本書で書き記す。私は三宅さんのようにたくさん本を読んでいるわけではないので、平伏するように彼女の青春の軌跡を目で辿った。
2023/01/30
ゆみのすけ
書評家三宅さんのエッセイ。彼女のYouTube、Twitterを見て、本選びの参考にしているので、どんなお人柄なのかと本書を手にした。主に「地元の高知」「大学、大学院時代を過ごした京都」「読書」の3本柱の章立て。中でも京都の章が好き。友人たちと鴨川でビールを飲んだり、散歩したりした話。祇園祭、御手洗祭、下鴨神社の古本市に行った話。ゼミで学び、知り、議論する体力がついた話。青春の思い出が詰まった地で、著者の大事な時間と想いが伝わってきた。
2023/02/05
pirokichi
高知県出身で京大に進学し東京在住の書評家28歳による自伝的エッセイ。「地元」「京都」「読書」の三章。著者の若くみずみずしい感性に、自分はほんとうに遠くまで(距離も時間も)きてしまったんだなあとつくづくしみじみ思った。「地元」を出るって私は決意なんてしたかな?何十年経った今でも胸がじゅくじゅくする。「京都」は亡弟が学生時代を過ごした場所。私も時々出かけたなあ。子どもの頃から「読書」が大好きだった著者。私も彼女のように旅先の本屋で本を買い、その土地の喫茶店でコーヒーを飲みながら本を読みたい。無性にそう思った。
2022/04/08
えいなえいな
著書を読むのは初めてですが、若い方なので驚きました。文章も若いのに渋い文章を書きますね。村上春樹に影響を受けているのかな、と思ったりもしました。若い方のエッセイは若いがゆえの思慮や葛藤も見られて面白いです。自分もそうですが、歳をとるといろいろ達観していたり、諦めてしまっていてダメですね。 それはさておき、他の著者も読んでみたくなる、素敵なエッセイでした。
2022/03/21
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