「AV女優」の社会学 増補新版: なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか
「AV女優」の社会学 増補新版: なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか / 感想・レビュー
やいっち
10出版社共同復刊…書物復権の一角で見付けて、AV女優という名称に惹かれ、著者が女性ということで視点も含め女優陣への突っ込みも深いかユニークかを期待した。
2023/07/30
すーぱーじゅげむ
AV女優の、特にインタビューを受ける仕事について着目した論文です。この取材がのちに書く『グレイスレス』に繋がるんだな、と思いました。2005年ごろ見たAVの冒頭インタビュー「このパート、必要?」と思いましたが、今もあるのでしょうか。仕事を選んだ動機を答えるのが業務の一環、その中で次第に自分自身を洗脳していく。最初は月1回しか仕事ができなくて、1本あたりの単価が半値以下に下がるタイミングで仕事を増やすことができるようになるのは巧妙だなと思いました。
2024/02/25
さく
性産業に関して,従来自由意志の観点から性産業は強制された/自身で選んだ職業だと二元化する言説が主流であった。著者は自由意志言説に距離を置き,AV女優が自由意志を持つように振舞う理由やAV産業に従事する理由を自ら語ることに着目する。こういった語りが生まれる要因は,エンターテイナーとしての姿勢を求めるAV産業の構造とともに,不安定な職業であるAV産業に参加し続ける意義を確認する機会として,AV女優自身が語りを欲することにあると結論付ける。
2023/08/24
わす
AV女優を志した時点での動機は漠然としているが、面接や取材で繰り返し自分を語ることで、彼女たちは確固たる動機を獲得する。制作者や視聴者だけでなく、AV女優自身もまた勤労の倫理を保つためそれが必要となる。
2023/11/05
YH
物事を一方向ではなく、反対だったり、斜めだったり、様々な角度から見ることの重要性。自分が理解できない、理解し難いことだからこそ、意識的にそれを行う必要がある。社会学ってなんでもありと改めて気づかされるのも楽しい ・AV女優になった理由を饒舌に話す時、その饒舌を世間は歓迎し、楽しむ。楽しみながら、安心するのだ。彼女たちは「好きでやっている」のだ、と。中略。そして「私たちとは違うのだ」と、。地続きにある彼女たちの居場所と私たちの居場所を断絶することで、やはり自分らは性の商品化をしていないと装えるp21
2023/06/24
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