少女マンガはどこからきたの?: 「少女マンガを語る会」全記録
少女マンガはどこからきたの?: 「少女マンガを語る会」全記録 / 感想・レビュー
パトラッシュ
子供の頃に姉のいる友人が何人もいたため、少女マンガは結構読んでいた。間違いなく自分を育てた読書体験がどんな経緯で発展したのか、水野英子さんの主導で黎明期を知る作家や編集者が集まって当時の事情を語ってくれた。ちばてつやを最初に知ったのは少女向け作品であるし、水野さんに牧美也子、わたなべまさこ、今村洋子、望月あきらなどの絵や題名にも覚えがある。少年マンガに比べ研究がほとんどないだけに、このジャンルの関する基礎文献となる貴重なオーラルヒストリーであり、職業女性が少なかった時代の先駆者たちの生き様の記録でもある。
2023/08/13
bura
水野英子が冒頭で語る「初期少女マンガの記録は殆ど無く、世の中に勝手な解釈や間違いが流布されており、これは困る」そこで1999年頃から少女マンガの重鎮たち、水野英子、今村洋子、上田トシコ、牧美也子、わたなべまさこらが座談会の形で幾度となく話を重ねる。時には編集者も参加し、「リボンの騎士」から「ベルサイユのばら」までの少女マンガが形成された空白の20年間を埋めていった。貴重なマンガの資料やデータも満載であり、マンガ史を紐解く上での大切な一冊が完成した。素晴らしい作業である。
2023/09/30
ぐうぐう
少女漫画史の空白期を埋める画期的な書。手塚治虫『リボンの騎士』から池田理代子『ベルサイユのばら』までの20年間の記録がほとんどないとの危惧から発起人である水野英子の呼びかけで、少女漫画黎明期を支えたレジェンド級の漫画家達が集合し、語り合う。上田トシコにわたなべまさこ、巴里夫と高橋真琴に今村洋子等々、まさしく伝説の漫画家達の生の証言は、これまでの少女漫画史では語られてこなかったお宝級の発言ばかりで驚きの連続だ。(つづく)
2023/09/20
Roko
マンガ家のみなさんがどういうきっかけで書き始めたのかとか、少女漫画の女の子の目に星が入るようになったのはいつからかなんて話をしていると、どの項目でも手塚治虫先生の名前が出てくるのには驚くばかりです。あらゆる意味で手塚先生は日本のマンガ界の中心にいた方なのだと再確認してしまいました。今やマンガは世界中で読まれるようになりました。マンガで日本語を覚えたという人も大勢います。世界中の人がマンガを通じて、心を通わせられる時代になったのかなぁ。だとしたらとても嬉しいな。
2023/12/26
akihiko810/アカウント移行中
初期の少女マンガに関する記録を残そうとして出来た「少女マンガを語る会」が99年から00年に渡り4回に渡り開催され、作家本人、編集者、貸本業者の実際の証言をまとめた記録本。印象度A- 「リボンの騎士」から「ベルサイユのばら」の間の、少女マンガ創世期について、事実が語られることがほとんどなかったため、その真実を残そうと水野英子が発起人となってできた「少女マンガを語る会」。漫画史を語るうえでは欠かせない証言本となった。「フイチンさん」の上田トシコがご存命であったので、証言もあり、貴重な記録となった
2023/11/03
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