パウル・ツェラン全詩集 第Ⅰ巻
パウル・ツェラン全詩集 第Ⅰ巻 / 感想・レビュー
くまさん
うまく読み進めることができない。言葉の密度とその背後にあるものの巨大さが全文に傍線を引くことを強いたからだろうか。「すべては死んだ」。「〔…〕お前が讃えられるように、誰でもない者よ。/お前のために/ぼくたちは花咲こう。/お前に/向かって。/ひとつの無/だった ぼくたちは、である、でありつづける/だろう、誇り咲きながら――あの無の-、あの/誰でもない者の薔薇。/そこには魂の明るさの花柱が、/天のように荒れ果てた花糸が、/花冠は/深紅の語によって赤く、それをぼくたちは歌ったのだ/うえで、おお/茨のうえで。」
2019/03/03
またの名
民族も出てくる。ただし郷愁を誘う懐かしい音や色や匂いの記憶を立ち上げる土地や文化ではなく、「もっと甘く死を奏でよ」と叫ぶ男に命じられて自分達が後で放り込まれる墓をルーティーンで掘っている被収容者として。古くからただ一人の神と契約したというユダヤ民族にとって、神が近づき難い超絶の存在だと言える素朴な時間はもはや昔日。血を流してる創造主を見つけた『テネブレ』の人々は、主に祈る代わりに、自分達に祈りなさいと主に呼びかける。被造物が神に憐れみを垂れる主客転倒のコント劇のブラックさに、笑うのが相応しいのか皆目不明。
2016/08/26
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この瓦礫の野を越えて、/菅の海を抜けて 今日/ぼくたちの/青銅の道が通じている。/そこにぼくは横たわり そしてお前に向かって語りかける//皮を剥がれた/指をつかって。 (424-425ページ。「シベリアのように」より)
2018/04/15
うた
手前の知識不足もあり多くは理解できない。ただ何気なく開いたページで「そこには 魂の明るさの花柱が、天のように荒れ果てた花糸が、花冠は 真紅の語によって赤く、それをぼくたちは歌ったのだ うえで、おお 茨のうえで。」といった詩句に突き当たることがある。意味を手放したときに、ぱっとイメージが開くというか。
2017/06/18
メルセ・ひすい
15 とりあえ 著者の肖像あり 内容: ◎罌粟と記憶 ・骨壷たちからの砂 ・死のフーガ ・逆光 ・夜の茎たち ◎敷居から敷居へ ・七つの薔薇だけ遅く ・取り替わる鍵で ・島に向かって ◎言葉の格子 1955 ◎誰でもない者の薔薇 1963
2012/05/09
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