人生の戦い: 一つの愛の物語
人生の戦い: 一つの愛の物語 / 感想・レビュー
モトヒロ
ディケンズの五篇からなる「クリスマス・ブックス」の四作目。他の四作と大きく異なる点としては、おとぎ話的な要素が全くみられないこと―過去・現在・未来の精霊や鐘の精、こおろぎの精や憑かれた男の影のような存在は全く見受けられない。そういった点も相まってか、すこぶる評判の悪い本作だが、姉妹の自己犠牲が中心に置かれたこの物語において、失った母代わりとして父と妹に尽くす姉グレイスの自己犠牲とは対照的な、自ら身を崩すことで姉の幸福を成就させようとした妹メアリアンの複雑な心理は注目に値すると言えるだろう。
2017/03/11
Sin'iti Yamaguti
クリスマス物の中の一作。タイトルにあるように、無私の姉妹愛がテーマで、最後のどんでん返しは(途中で予測できてしまうのではあるが)、ディケンズのストーリーテラーとしての才能が発揮されてところでもあろうか。ただ、日本語訳がきわめて読みにくい。おそらく原文もそれなにり晦渋なのかと思うが、人物のセリフが何をいっているのかわからない。大時代的で大げさで焦らすような物言いは不自然だ。「彼」「彼女」がセリフの中に頻出するが誰のことだかわからなくなることがある。
2024/06/14
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