イエロー・バックス: 高浜寛短編集
イエロー・バックス: 高浜寛短編集 / 感想・レビュー
Susumu Kobayashi
弟が貸してくれた本。作者の初めての単行本とのこと。『ニュクスの角灯』とは違い、水彩画のような絵柄である。8編の短篇を収録してあるが、私小説的な味わいが濃い気がする。子供同士の会話が巧い。読むのにけっこう時間がかかってしまった。
2020/10/18
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日常のなかで生まれる「滑稽」を描くのは難しい。ていうかわざわざ描いてしまうこと自体、無粋なのでは、とも思うのだが。しかし高浜寛。面白い。 にじむようなタッチで描かれた老人の物語からはまさに人生を生き抜いてきた者の悲哀が感じられる。哀しくて、馬鹿馬鹿しい。これこそマンガで描く意味だと思う。
2013/07/14
kujira
「日常」の切り取り方がうまいなあ、と思った。いや、日常じゃないだろコレな風景も多々あったけれども、淡々としているところがすごく「日常」という感じ。あとがきにあった「まず、男と女が分かりあえない事、この事がとても滑稽で悲しい事だと思います」という一文がとても滲みたので、なんとなくこの作家さんは他の作品も読んでみよう、と思った。
2012/01/18
オクサイ
なぜか新装版には再録されていない「モン・サン・ミッシェル」。これがとても良い作品でした。 一編目に置かれている「最後の女たち」も、間違いなくこの本を先頭で引っ張る役目を大いに果たしてるなぁと。 著者あとがきより、『イエローバックス』というタイトルは、江戸時代の黄表紙を意識したものらしい。言われてみれば確かに、とてもしっくりくる。人間味を強く感じるキャラクターたち、恋や愛、思い通りにならないもどかしさ、可笑しい話の中にもどこかに漂う哀愁。江戸時代の「滑稽」と言われた表現がここに新たな姿で描かれています。
2020/04/06
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