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チューリップ ダシール・ハメット中短篇集

チューリップ ダシール・ハメット中短篇集

チューリップ ダシール・ハメット中短篇集

作家
ダシール・ハメット
Dashiell Hammett
小鷹信光
出版社
草思社
発売日
2015-11-12
ISBN
9784794221568
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チューリップ ダシール・ハメット中短篇集 / 感想・レビュー

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本木英朗

小鷹信光氏追悼読書。未完の自伝的中編である表題作をはじめ、初期の一般文芸作品や「コンチネンタル・オプ」シリーズの本邦初訳短編などを収録した作品集。ハメットもハードボイルドも読みこなせない自分には、正直なところやや楽しみを見出しがたい内容だったのも事実。しかしストイックな精神性やその奥に漂うヒロイズムといった「いわく言い難い何か」が訳文を通して、確かに伝わってくる。それは、表題作でハメットが(作家として)「書けない自分」を投影した男に語らせた独白に、端的に象徴されているように感じる。

2015/12/11

くさてる

短編集。掌編といっていいものから最後の作品となった未完の中編まで様々な作品が収められている。いかにもな犯罪ものもあるけれど、わたしが気に入ったのは「ならず者の妻」。いわゆるワルの妻であることに誇りを持ち満足しきっている妻の前に訪れた夫の客人。そこからはじまる展開が実にスリリングでした。他の作品も雰囲気があり、面白かったです。

2018/04/14

ふみふみ

表題作の「チューリップ」は遺稿となった未完の自伝的作品。物語としてはとりとめのない、らちのあかない会話劇に身の上話みたいな感じなんですが晩年の書けなくなったハメット自身を窺い知ることができる興味深い中編です。他収録の短編ではやっぱりコンティネンタル・オプ物が好み。「裏切りの迷路」はプロットもさることながら、オプの仕事の流儀、悪党を手玉に取る非情さにシビれました。

2022/11/05

bapaksejahtera

ハメットをかなり読み込んで肩入れをするようになった読者には嬉しい本となるだろう。私はまだその域に達しない。各作品の直後に小鷹信光氏の解説がある。これが良い。ハメット落ち穂拾いの感のある作品採択であり、表題作はこの中で最長であるが晩年どうにも書けなくなった頃の未完の物。ハメットが探偵を辞めて物書きをしだした頃の文芸小作品もある。「裏切りの迷路」はチビでデブの主人公探偵が登場する佳作で、これによってハメットが長編に意欲を見せ始める記念碑的作品である。これだけでもこの中短篇集には価値があるというものである。

2021/01/17

DEE

なんと言っても「マルタの鷹」が面白かったけど、この短編集もよかった。 こういう探偵小説での短編というのは、素人目から見ると長編よりも難しいと思うのだけどどうなのだろう。 時代的にはかなり古いし現在の探偵物のようなスピード感はないのだけど、犯罪を犯す者とそれを取り締まる者という図式は普遍だからあまり気にせずに読めるのがいい。

2019/04/18

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